まちづくり・社会教育活動の実践あれこれ

日々への感謝とアウトプット

読了「減酒セラピー」

どんな本

毎日のお酒をちょっと減らすだけで、こうなった。読めばナルホド、一生楽しく飲むためのリセット術。専門医がとことんわかりやすく解説!

 

感想

アルコール低減外来医師で患者さんの飲酒セラピーに従事する著者による減酒のための指南書。基本的な考え方から、減酒への動機付け、具体的な実践方法など目から鱗の内容。人との付き合い上避けては通れない飲酒と、今後どうやって付き合っていくか、大きな指針を与えていただいた本書に心より感謝。

 

表紙

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要約・メモ

(はじめに)

  • お酒がある人生は楽しい。だからずっとお酒と付き合っていきた。そんなお酒好きな人が、これからも健康にそして幸せに暮らしていけるよう本書を書いた。
  • 本書は、あらゆる方々にとって役立つ、最新版のお酒と上手に付き合うコツを集めた本。健康に配慮しながら、おいしくお酒を飲むための本。

 

(第1章・人とお酒の関係が変わりつつある)

  • 日本人の一人当たりの飲酒量は世界各国の平均よりちょっと少ないくらい。
  • ロシアはほぼ全員お酒を飲める人たちで、一人当たりの飲酒量も多い。
  • 日本でお酒に強い人は、世界標準では普通の人。
  • 「少し飲んだほうが長生き」のJカーブは幻想で、「健康で長生きしたいなら、お酒は少量、ベストはゼロ」。
  • 欧米の若年層では、あえてお酒を飲まないことがムーブメントになりつつある。
  • ポジティブなスタンスで飲酒しないことを「ソバーキュリアス(Soberしらふ Curious好奇心が強い)」と呼び近年広がり。
  • 自分のライフスタイルを優先し、あえて飲まない。お酒の場にいたとしても、ソフトドリンクやノンアルコールを選ぶ。
  • 日本初の指針、2024年「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」作成。
  • 重要な要素の一つが、飲酒量の把握。純アルコール量が基準に。男性は40g未満、女性は20g未満。
  • やりやすいのは、断酒より減酒。今飲んでいる量より減れば減酒。
  • アルコールを与え続けられたハエ、ドーパミン受容体の増加と同時に、アルコールに対する嗜好性が高まった。脳の報酬系が乱れ、アルコール摂取を好むように。

 

(第2章・飲み方を変えるだけで「人生の質」が激変)

【減酒のメリット】

  • メリット①めんどくさいがなくなる:やれること、やりたいことが増える。
  • メリット②頭が冴える:深酒するとアルコールは翌日も分解されず残っている。
  • メリット③いつも体調が良い:毎日をベストな体調で送れる。
  • メリット④手持ちの時間が増える:平日夜は飲んで終わり、翌日はリカバリーに半日費やす。
  • メリット⑤楽しい経験がどんどん増える:お酒を最優先しているために、本当はやりたいことができなくなっている。
  • メリット⑥筋トレ・ランニング、自由自在:飲酒してしまったらその日の運動はなし。
  • メリット⑦人間関係の失敗がなくなる:思わぬ失言、失態につながることも。酔った勢いでのSNSへの書き込みで後悔。
  • メリット⑧粗相などのトラブルがない:誰かが介抱してくれて、場を収めてフォローしてくれていることも忘れず。
  • メリット⑨自己や大けがを避ける:飲酒による死因の第1位は事故やケガ。
  • メリット⑩犯罪などのトラブルを避ける:財布やスマホの置き忘れ、店でぼったくりなど。
  • メリット11睡眠の質が上がる:人生の3分の1は睡眠。睡眠の質が重要。
  • メリット12やせる:アルコールは体内で中性脂肪の原料である脂肪酸の働きを高める。
  • メリット13お肌がキレイになる:飲酒量が増えるほど皮膚トラブル多い。
  • メリット14お金がたまる:毎日缶ビール2本と酎ハイ1杯飲むと540円。1年間で約20万円に。
  • メリット15生活習慣病のリスクが下がる:肝臓の障害が、心血管、胃腸、脳神経などに影響。
  • メリット16がんのリスクが下がる:発がんの確率高くなる。
  • メリット17気分の落ち込みがなくなる:不安感を引き起こし、抑うつ気分を悪化させる側面あり。
  • メリット18認知症のリスクが下がる:脳の萎縮は加齢とともに進むが、飲酒がさらに加速させる。
  • メリット19家族との関係が良くなる:一番身近な家族だからこそ大切に。

 

(第3章・こんな兆候にご用心!)

  • 休脳日は休肝日になる。脳を休ませればお酒も減る。
  • 日中は体調も仕事の調子もいまひとつで、終業後に飲み始めると絶好調というひとは要注意。
  • 鍛えてお酒に強くなると、がん発症リスクが上がる。
  • お酒の分解:エチルアルコールアセトアルデヒド→酢酸→二酸化炭素と水。
  • アルコールが睡眠を阻害するマイナス要因に。中途覚醒を増加。
  • アルコールの体内消失速度:20gで5時間、40gで10時間、100gで24時間を要する。
  • 都合の良い裏技は存在しない。体内で代謝が終わるまで抜けない。
  • 短時間の多量飲酒で危険度大。
  • 単純酩酊は飲んでいい気分になる酔い方、異常酩酊は攻撃的・衝動的な行動で周囲を困らせる。さらに複雑酩酊、病的酩酊などに分かれる。
  • 飲酒で200以上の疾患に影響。40代50代になったら要チェック。
  • 年齢とともにアルコール分解力も変わる。

 

(第4章・いつ飲む?なに飲む?どれくらい飲む?)

  • AUDIT(オーディット)、WHOが開発した、飲酒に関するスクリーニングテスト。
  • 0〜7点:今のところ、危険の少ない飲み方
  • 8〜14点:健康や社会生活に影響が出る恐れあり
  • 15〜40点:アルコール依存症が疑われる飲み方
  • 日本人の平均点は3.4点。
  • 「飲酒ガイドライン」で目安を確認。摂取量は、純アルコール量に換算した目安で。
  • 1日当たり「男性40g未満」「女性20g未満」。ビール2本、缶酎ハイ2本、焼酎コップ1杯程度。
  • 体質による個人差、遺伝的要因。①顔が真っ赤になる下戸タイプ、②顔がほんのり赤くなるタイプ、③顔が赤くならないタイプ。
  • 置き換えで飲酒量をコントロール。ノンアルは心強い味方。
  • 世界のトップアスリートの間でも、飲酒を控える傾向、トレーニングやワークアウト後に飲むものが、スポーツドリンクからノンアルコール飲料に取って代わる新しいスタイルへ。
  • ドイツでは、「エルディンガー・アルコールフリー」というノンアル飲料が定番に。
  • 日本でも、スポーツ用品メーカー・ミズノが「PUHAAH(プハー)」を発売。
  • 減酒薬による治療(ナルメフェン)が医師によって処方可能に。お酒を飲む1〜2時間前に服用。飲酒時の高揚感やワクワク感を抑える。

 

(第5章・もう後悔しない。失敗しない。飲み方のコツ)

  • お酒は飲み方次第で最高に楽しくもなれば大惨事にもなる。場の雰囲気になじみながらも飲みすぎないコツ、ハメをはずしそうなシチュエーションでのコントロール術、自分の的量や限界を超えない飲み方。家飲み派も外飲み派も活用できる減酒の知恵をまとめました。

【基本的なコツ】

  • ①飲む前に食べる:先に食べてお酒がなるべく胃にとどまる状態を作る。
  • ②飲んでいるときに酒量を把握する:自分の酒量を決めておくこと。純アルコール量を目安に。ビール2杯だけと周囲に宣言して。
  • ③なるべく薄いお酒を飲む:強いお酒を一気に飲むと理性があっという間にはずれてしまう。
  • 飲むペースを落とす:ピッチが速いと飲酒量が増加。お湯割りなど速いペースで飲めないものを。生活全体のあらゆる速度をゆっくりペースに。
  • ⑤水を合間に飲む:水と交互に飲む習慣を。炭酸水も効果的。
  • ⑥ノンアルや微アルを活用:お酒の前や後に飲む、途中で飲む、割って飲むなど。
  • ⑦飲んだ後に食べるのはほどほどに:糖の分解よりアルコール分解が優先、血糖値が下がる。高カロリーのドカ食いで太る。

【家飲みのコツ】

  • ①一日の量を決める:家飲みでは時間制限を設けにくい。ストック量を調整。
  • ②お酒をお休みにする日を決める:早く帰れる○曜日はあえて飲まない。
  • ③お酒を買い置きしない:大量買いはやめて、都度買いを基本に。
  • ④あえてミニボトル:飲み切らなきゃのプレッシャーから解放。
  • ⑤ノンアルや微アルは無制限:ノンアルの定位置をお酒よりも目につきやすい場所に。
  • ⑥休日でも朝からは飲まない:せめてランチタイムまで待ち、食事メインにお酒を添える程度に。

【外飲みのコツ】

  • ①帰宅時間を決めておく:滞在時間のコントロール。楽しい時間をギュッと凝縮。
  • ②できれば2〜3時間で切り上げる:長時間飲まないこと。慣れてきたら最初の一杯だけ。
  • ③帰るコールをお願いする:周囲に協力を仰ぐ。門限設定、アラーム的な電話。
  • 一次会で帰る:今日は一次会だけと宣言。
  • ⑤飲み放題に乗せられない:飲みすぎない注意が必要。周囲につられず、自分流の飲み方を貫く。
  • ⑥○時以降はノンアルに切り替えと決める:自分なりのルールを設定。
  • ⑦あまり飲めないと宣言してしまう:飲めないキャラを楽しむつもりでトライ。お酒を減らそうと思っている、と減酒宣言してみるのも手。
  • ⑧酒量が少ない人を真似る:その人をお手本、ペーサーにして。
  • ⑨あえてグラスを空けない:空にすると「次、何か頼む?」の声。まだ大丈夫ですでゆっくり空に。
  • ⑩高いお酒を少し飲む:自分の飲み方を見直すきっかけに。
  • ①①飲まない分、コミュ力でカバー:その場の話題や雰囲気を楽しむ努力。
  • ①②情報収集に徹してみる:自分から積極的にコミュ力を発揮するタイプではない場合、聞き役に徹して。インタビュアーになったつもりで話を深掘り。
  • ①③幹事の仕事を極める:酒席に参加する際はあえて幹事や幹事補助を務める。

 

(第6章・お酒に振り回されないライフスタイルを作る)

  • 飲酒日記(レコーディング)をつける
  • アプリ例:減酒にっき、うちな〜適正飲酒普及啓発カレンダー、飲酒量レコーディング
  • 多量飲酒のトリガー「HALT」:Hungry、Angry、Lonely、Tired
  • メリットとデメリットを書き出す。
  • 定期的に自分のがんばりを確認。減っている日にフォーカス。
  • お酒をなるべく視界に入れない。冷蔵庫内もリビングも模様替え。
  • 飲まない人と友だちになる。夜はなるべく飲まない人たちの中に交じってみる。
  • 飲酒するとできないこと、の予定を入れておく。