どんな本
18世紀ヴェネツィア、孤児を預かる養育院に赴任したヴィヴァルディとそこで暮らす天才少女との葛藤を描き、「四季」誕生の謎に迫る。イタリア最高の文学賞ストレーガ賞受賞。改題新装版。
感想
2008年、イタリア最高の文学賞ストレーガ賞とスーペルモンデッロ賞を受賞した「スターバト・マーテル」の改題新装版。母への手紙という形をとりながら、語りかけと呟き、あるいは叫びにも似た思いが、音楽の皮膚をまとい紡がれていく。稀有な読書体験に感謝。
#ヴィヴァルディと私 #ティツィアーノ・スカルパ
表紙

要約・メモ
- 私自身が、病気そのものでもあり、その治療でもあるのです。
- 毎朝、花々と同じに、太陽はいくつもの顔を花開かせます。
- 闇はただの見せかけで、ほんとうの下地は光なのです。
- あの夜から、わたしは何か月も便秘に悩みました。
- お母様、五線譜の中にまであなたへのお便りを書くのは、ほかに紙がないからです。
- 神の母は、自分の体から死なない部分を取り出しました。だから、わたしたちはこの方を崇めるのです。
- わたしたちは音楽を分泌する、ただの面影。手で触れることのできない物質を吹きかける幻想。
- 物から出てくる音は、それ自体がその物の目的のよう。それは物の意思。それは音をたてる物を超え、それをより大きくして、空気の中に広がっていく。
- わたしたちは純粋なる音、体から切り離された声。わたしたちは彼らの夢。
- 鶯は自分の声に絶望しているのです。
- わたしは音楽と一緒に育てられました。
- わたしは空っぽの、空虚の中から生まれてきた。
- 世界にある物音を真似して演奏しようなんて幼稚です。音楽が真似することのできるただひとつのものは、わたしたちの考えなのだから。
- 音楽は、純粋な考えというものにもっとも似ているものなのです。
- 音楽は、考えが姿を変えて、わたしたちの外側に出たもの。
- 言葉は、存在するものごとについての、死者の警告。
- 言葉は、わたしたち自身よりも大きな欲望や期待をわたしたちの中に植えつける、死者の復讐。
- お母様、動転しています。月経が遅れているのです。妊娠したのではないかと心配です。
- 今、自分の運命に向かって行くのは、わたし自身なのだから。
ティツィアーノ・スカルパ (スカルパ,ティツィアーノ)
1963年ヴェネツィア生まれ。96年『焼きつく目』で作家デビュー。以来、小説、戯曲、詩、エッセイ、評論など多数の著作を発表、現在イタリアでもっとも活発な作家の一人である。
中山 エツコ (ナカヤマ エツコ)
1957年東京生まれ。翻訳家。訳書に、E・モランテ『アルトゥーロの島』、D・ブッツァーティ『モレル谷の奇蹟』、T・ランドルフィ『月ノ石』、『ムナーリの機械』など。




