どんな本
文芸界のリーサル・ウェポン鴻池留衣が、9人の小説家たちを酒場に呼び出し対話。ナゾ多き文芸ジャンルを徹底解剖する。これを読めば純文学がわかる!書ける!令和の文芸シーンも一望できるブックガイドつき純文学入門書。
感想
タイトル通り「純文学とは何か?」に迫る著者と9人の作家との対談本。文芸誌や芥川賞(純文学)と直木賞(大衆小説・エンタメ)、デビュー後10年以内が新人賞、代表作家(谷崎潤一郎ほか)など、基礎知識が個人的には有益極まりなし。純文学入門本として「午後の最後の芝生(村上春樹)」選出にはニヤリ。
#純文学って何だよ #鴻池留衣
表紙

要約・メモ
イントロダクション 「純文学って何だよ」
①純文学が載る文芸誌
- 純文学と呼ばれるジャンルの小説を発表する媒体が、文芸誌である。「文芸誌に載った小説作品」がすなわち純文学である。
- 上半期、下半期と1年に2回決定される芥川龍之介賞を指して「これは純文学である」と言っても差し支えない。
- 非純文学(大衆小説・エンターテインメント)作品を対象としたのが直木三十五賞。芥川賞の候補作は、五大文芸誌の掲載作品の中から選出される新人賞。デビュー後10年以内のまだ芥川賞を獲っていない作家が対象。
②純文学作家としてデビューする
- 純文学が書きたい、という確固たる信念があったわけではない。谷崎潤一郎、大江健三郎、石原慎太郎などを好んだのは確か。
- 小説を書くという行為自体が僕にとっての自由の探求。
- デビュー作は「二人組み」という小説。デビュー1作目(デビュー作の次に発表した作品のこと)は「ナイス・エイジ」という小説。
③純文学で売れるためには
- 純文学はエンターテインメント性の乏しさから映像化には向いていない。
- まず作家は芥川賞を受賞して、芥川賞作家という肩書きを手に入れなければならない。
- 無冠の純文学作家の作品は、販売促進が困難。
- 誰が、どんな内容のものを書いた、かが重要で、その情報を消費者に売りつけている。
④芥川賞を獲るには?
- 要件が足りない:要件のひとつめは、文藝春秋のメインの読者に媚びること。もうひとつは自分がこの作風、主題を選択したのか、せざるを得なかったのか、その説明を作品で表現すること。
- 現状の作風を変えてしまっては、以降受賞作がその作家の代表作とみなされてしまう恐れがある。
⑤再び、純文学って何だよ
- 純文学の特徴としてネタバレが機能しない。事前にどんなことが書いてあるのか知っていたとしても、読んでみないとその小説の価値はわからない。
- 音楽を聴く快楽は、純文学を読む快楽と性質が似ている。
- 音楽的言葉は、読解という行為に誠実な形をしているわけではない。下手くそな文章の作品も多い。
⑥他の作家たちの意見
- 小説家と小説家の対談企画を提案。どうして純文学作家になったのか、これから何をしていくのか。
⑦追記
- 以上のことをエッセイとしてイミダスというウェブメディアに書いたのが4年前。
- 連載タイトルは「純文学のナゾを解け」、それらをまとめたのが本書。
鴻池留衣が純文学入門におすすめしたい3作
- 「完全な遊戯」石原慎太郎、1957年発表。
- 「少年」谷崎潤一郎、1911年発表。
- 「午後の最後の芝生」村上春樹、1982年発表。
第1回 高瀬隼子 「小説家はみんなウソをついている?」
高瀬隼子さんとの対話を終えて
鴻池留衣が選ぶ高瀬隼子の1冊
第2回 町屋良平 「小説の主人公はいつも”小説家”になる?」
町屋良平さんとの対話を終えて
鴻池留衣が選ぶ町屋良平の1冊
第3回 高山羽根子 「小説は”自分”と”世界”どっちを書く?」
高山羽根子さんとの対話を終えて
鴻池留衣が選ぶ高山羽根子の1冊
第4回 砂川文次 「小説は経験で書くもの?」
砂川文次さんとの対話を終えて
鴻池留衣が選ぶ砂川文次の1冊
第5回 石田夏穂 「小説は全然自由じゃない?」
石田夏穂さんとの対話を終えて
鴻池留衣が選ぶ石田夏穂の1冊
第6回 尾崎世界観 「小説を愛しすぎている?」
尾崎世界観さんとの対話を終えて
鴻池留衣が選ぶ尾崎世界観の1冊
第7回 川本直 「小説に自意識はいらないの?」
川本直さんとの対話を終えて
鴻池留衣が選ぶ川本直の1冊
第8回 永井みみ 「小説の醍醐味はBL(ボーイズラブ)にあり?」
永井みみさんとの対話を終えて
鴻池留衣が選ぶ永井みみの1冊
第9回 田中慎弥 「小説は身体で書くもの?」
田中慎弥さんとの対話を終えて
鴻池留衣が選ぶ田中慎弥の1冊