まちづくり・社会教育活動の実践あれこれ

日々への感謝とアウトプット

読了「眠れなくなるほど面白い睡眠の話」西野精治

どんな本

睡眠の常識が変わる!今晩からできる睡眠革命。日本人は世界一寝ていない⁉︎最先端の睡眠法で眠りを変えよう。睡眠が変われば、人生が変わる!

 

感想

自分自身、寝付きは良く早寝早起きも毎日できているが、いかんせん睡眠時間が平均3〜4時間と少ない。あらためて睡眠の重要性とその効果を再認識できた上、最新の睡眠にまつわる知識を得ることができた。第3章の黄金の90分を手に入れる方法は必見の価値あり。

 

表紙

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要約・メモ

(はじめに)

  • 睡眠は生きていくうえで、基本的でもっとも重要な生理現象。
  • 今日からぐっすり睡眠を目指し、心地よい眠りと覚醒を手に入れよう!

 

(第1章 つい話したくなる睡眠の新常識)

  • 睡眠不足が免疫力を低下させ感染症にかかりやすくする。
  • 予防接種をしても、睡眠が十分でないと抗体反応が弱く、その効果が認められない。
  • ホルモンバランスの異常で食欲が変わる。食欲が抑えられなくなる(グレリン増加、レプチン減少)。
  • 都会にいる人の睡眠時間比較、睡眠時間6時間未満が東京に多い。
  • 「90分の倍数で起きれば、目覚めが良い」という説は個人差あり。
  • ノンレム睡眠(深い眠り)とレム睡眠(浅い)、レム睡眠のときに起きると目覚め良い。
  • 10時間睡眠でスポーツの成績UP。パフォーマンス向上のみならず、負傷者も大幅に減少。
  • 睡眠時間は短くても長くても健康を損なうリスクが上がる。
  • 長時間の睡眠は脳卒中の発症リスクを高める。長さよりもを高めて。
  • 1日3〜4時間睡眠のショートスリーパーは遺伝子で決まる特異体質。(ナポレオンやエジソン
  • 蓄積された睡眠負債は休日の寝溜めでは返せない。睡眠貯金もできない。
  • 本人も気づいていない「瞬間的な居眠り(マイクロスリープ)」がある。
  • 睡眠不足の運転は飲酒運転より危険!
  • 午後の眠気(アフタヌーンディップ)はランチを抜いても撃退できない。
  • 5〜15分程度が、自然な入眠潜時。眠れないと意識せず無理に眠ろうとしないこと。
  • 体温のリズムで朝型・夜型が決まる。朝型の人は朝早くから体温上昇が始まる。
  • 起きたい時間を意識して眠ると起きれる。コルチゾールの分泌が起こる。

 

(第2章 ここまでわかった!睡眠の科学的メカニズム)

  • 深いノンレム睡眠は脳の休息時間。レム睡眠中は完全な電源オフではなくアイドリングモード。
  • 睡眠の役割:①脳を休ませ体をメンテナンス、②自律神経やホルモンバランスを整える、③記憶を整理して定着、④免疫力を上げて抵抗力を高める、⑤脳の老廃物を除去。
  • 交感神経(活動モード)と副交感神経(リラックスモード)が1日のなかで入れ替わり働く。
  • 成長ホルモンの分泌は最初のノンレム睡眠70〜80%が分泌。
  • 成長ホルモンが出ないと、コレステロール増、骨が弱体、筋肉量減、体力減、肌荒れなど。
  • 新しい記憶は海馬で整理され、大脳皮質で古い記憶となり定着。眠り始めの深いノンレム睡眠のとき。スポーツ技術の習得など体で覚える記憶は浅いレム睡眠で定着。
  • 記憶の転送作業中に脳内で映し出されるものが「」ではないかとの説も。
  • 風邪を引くと熱が出て眠くなるのは、体の免疫機能ががんばっている証拠。サイトカインという生理活性物質が、指令を出してサポート。
  • 人の体を構成する37兆個もの細胞はそれぞれ代謝を行い、老廃物を発生、リンパ組織などを通して細胞外へ排出。
  • ところが脳にはリンパ組織がない。かわりに、脳の老廃物は脳脊髄液という液体で洗い流されている。グリンパティックシステムという。
  • 睡眠不足が積み重なって睡眠負債におちいる。その自覚がない。
  • 慢性的な寝不足は、徹夜をしたときと同じようなパフォーマンス低下をまねく。睡眠不足の自覚がない。
  • ノンレム睡眠レム睡眠を4〜5回繰り返す。ノンレム睡眠は次第に浅くレム睡眠は徐々に長くなる。
  • 一番大切なのは入眠から最初の90分。ここでしっかり眠れると質が向上。黄金の90分と呼ぶ。2回目以降のノンレム睡眠が1回目より深くなることはない。
  • 人の概日リズムは地球の自転に伴い決まっている1日よりも長い約24.2時間なので、放っておくと少しずつ後ろにずれていく。それを修正してくれるのが光。
  • 朝の光が有効で、体内時計がリセットされ、地球の時間と体内時計のずれをなくしてくれる。
  • 眠れないだけではなく、眠くて仕方ないのも睡眠障害。不眠があるから過眠がある。過眠があっても不眠になる。
  • 睡眠障害で近年増えているのが21世紀の現代病ともいわれる「睡眠時無呼吸症候群SAS」。
  • 無呼吸が起こるたびに足りない酸素をとりこもうとして覚醒を繰り返し、慢性的な睡眠不足状態におちいる。結果、日中の眠気が強まり判断力や集中力を低下。
  • 長く患うと、約8年間で約4割の人が死亡するという衝撃的データもある。
  • 睡眠不足は万病のもと。肥満や生活習慣病、がんの発症リスクを高める。
  • 夜間シフトの多い看護師と日中勤務のみの看護師で、2型糖尿病発症率を比較すると20%高い。さらに年数に比例してリスク向上。
  • 睡眠不足はイライラを増やしてハッピーを消す。感情が暴走しないようにブレーキをかける前帯状皮質扁桃体がある。睡眠不足状態ではそれらが働かない。
  • 寝る子は脳も育つ、脳内の神経回路(シナプス)をどんどん作り、不要なものは除去され発達していく。
  • 睡眠が足りない子どもたちに発達障害の注意欠陥多動物性障害(ADHD)や学習障害(LD)の子どもと同じような症状がみられるケースも。
  • 近年のインターネットの影響からも子どもの睡眠不足が問題に。子どもの睡眠を守るのも、今の社会課題
  • 高齢者は早寝早起きになりがち。加齢と共に体内時計が変化。睡眠にかかわる生体機能のリズムが前倒しし早い方にずれてくる。
  • 短時間睡眠で昼寝の習慣がない人ほど、認知症の発症リスクが高い調査結果。昼寝をして睡眠時間の確保を。

 

(第3章 今夜からぐっすり「黄金の90分」の質を高める極意)

  • 夜、眠気がやってきたタイミングで寝る。徹夜せざるを得ないときは、最初の眠気で寝て黄金の90分が過ぎた頃に起きる。最低限必要な睡眠は確保できる。
  • ふだん寝る時間の2時間前から就寝直前までがもっとも眠りにくい。睡眠禁止ゾーン(フォビドンゾーン)がある。
  • 寝る力と起きる力はセット、十分に眠れていると14〜16時間は活動可能。オレキシンという神経伝達物質が活躍。
  • 体の内部の温度(深部体温)と体の表面の温度(皮膚温度)は上がったり下がったりそれぞれが逆に動く。
  • 日中の最大差は約2.0℃までいく。両者の温度差が縮まると眠気が増し眠りやすくなる。
  • 睡眠への体温スイッチ①:その差を縮めるのにもっとも有効な方法が入浴。就寝の90分前に湯船につかり、深部体温を上げておくと、眠る頃には深部体温が下がってきてスムーズに入眠。
  • 睡眠への体温スイッチ②:就寝前の足湯。30〜60分前、40〜42℃のお湯で、10〜15分つかる。ラベンダーなど香りを使うのも○。
  • 睡眠への体温スイッチ③:就寝前のくつ下。寝る1〜2時間前から履く。ゆったりサイズのくつ下で、ウールなど天然素材が良い。ストレッチや足のマッサージもすると血行促進されて良い。
  • 睡眠への脳スイッチ①ポジティブルーティン。眠る前の脳には余計なことを考えさせない。脳がモノトナス(単調な状況)であることに退屈して眠くなる。
  • 睡眠への脳スイッチ②Sheepを数える。モノトナスの例:難しい本、クラシック音楽、変わらない風景、古典芸能、静かな映画、炎のゆらめき。
  • 睡眠への脳スイッチ③1/fゆらぎ。予測できない不規則なゆらぎ。キャンドル、クラシック音楽、虫の声、小鳥のさえずり、波の音、木漏れ日、小川のせせらぎ。
  • 覚醒への光スイッチ:朝日(ブルーライト)を浴びる。活動モードへ切り替え。数分間でOK。
  • 覚醒への体温スイッチ:深部体温と皮膚温度の差を広げるのがカギ。水で手や顔を洗う。冷たい水仕事、朝ごはんを食べる、あたたかい飲み物を飲む。
  • 覚醒への感覚刺激スイッチ:目や耳、皮膚に目覚めの刺激を与える。裸足で冷たい床の上を歩く、カーテンを開けて朝日を浴びる、音楽やラジオをかける。
  • 覚醒への噛むスイッチ:よく噛んで朝食をとることも効果的。噛むことは記憶にも影響。よく噛んだマウスの脳で、海馬で新たな試験細胞が生まれる神経新生がみられた。
  • よりよい睡眠習慣のカギは起きる時間。毎朝起きる時間を一定にすること。安定した体内時計リズムの保持。

 

(第4章・スタンフォードに学ぶお悩み別睡眠アドバイス

  • なかなか寝付けない▶︎芳香浴で眠りの空間を。リラックスする香りが眠りの準備を整える。ラベンダーの香りリラックス効果。
  • すぐに眠りたい▶︎少量のお酒を。アルコールには脳の興奮をしずめる効果。途中で起きたり早く目覚めたりは飲み過ぎ。寝る直前、度数の強いお酒を、ほんの少しだけがポイント。
  • 真っ暗だと眠れない▶︎暖色系の明かりは眠りのかけ橋。暖色系の赤みがかったキャンドルや間接照明が良い。
  • 眠っても疲れが取れない▶︎通気性の良い寝具を。敷布団に最適な高反発の新素材マットレス
  • もっと脳を休ませたい▶︎熱のこもらない枕が正解。効率よく頭を冷やす。ダニやカビ、匂いは快眠の大敵。
  • 二度寝してしまう▶︎2段階アラームで爽やかな朝に。20分間隔のアラームで起床ウィンドウ(余白)をつくる。間隔の短いスヌーズ機能は避ける。
  • 日中すっきり過ごしたい▶︎1杯のコーヒーで覚醒をワンランクアップ。眠気を促すアデノシンをカフェインが妨害。代謝UPや血行促進効果もある。
  • 眠りが浅くて寝足りない▶︎運動習慣は快眠生活への第一歩。睡眠の質が改善。運動で体温変動や免疫細胞から分泌されるタンパク質、サイトカインの生産。ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を週2〜3回
  • 食事から睡眠を改善したい▶︎冷やしたトマトやキュウリで入眠モードに。胃が空のまま眠るのも良くない。夕食を抜くと体が飢餓状態に。飢餓ストレスを感じ、脳内でオレキシンという覚醒物質が分泌。オレキシンが増えると交感神経が活発化、覚醒作用や食欲増進作用を引き起こし、睡眠も妨げられる。
  • 昼間の眠気に打ち勝ちたい▶︎パワーナップ(仮眠)は眠い午後の救世主。午後の早い時間に20分程度の仮眠をとる。12時間ごとに2時間の仮眠をとると、仮眠後のパフォーマンスが向上する立証データ。20分程度の仮眠でも効果あり。
  • まとまった睡眠時間が取れない▶︎分割睡眠が忙しい現代人を救う。分けて睡眠をとってもよいと気楽に考えて。かつては人もほかの哺乳動物と同じく、1日に何回も眠る多相性睡眠だった。
  • 不安で眠れない▶︎認知行動療法は最新の睡眠改善法。快眠を遠ざけている「認知」と「行動」を改善する。認知行動療法とは、誤った思考のクセ(認知)を修正したり、悪い生活習慣(行動)を改善したりすることで、不安な気持ちやネガティブな感情がふくらまないようにする精神療法。