まちづくり・社会教育活動の実践あれこれ

日々への感謝とアウトプット

読了「発達凹凸を生きる力に変える コンプリメント子育て」森田直樹

どんな本

コンプリメントトレーニングの研究者である著者の2022年最新作。発達障害(発達凹凸)のある子の子育て本。発達障害は脳機能障害との先入観から服薬が主流であるが、薬が親に代わって子育てなどしてくれない。発達凹凸を生きる力に変える子育て法とは。

 

感想

著者の第一作「不登校は1日3分の働きかけで99%解決する」に続き二冊目。ADHD自閉症スペクトラム、様々な適応障害を持つ子どもたち、その発達凹凸はその子の最大の長所=力になり得るという可能性と希望の灯を見出すことのできた一冊。

 

表紙

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目次

  • プロローグ
  • 第一章 凹凸の子どもの心のコップを自身の水で満たす
  • 第二章 凹凸の子どもの発達に必要なスキルを身に付ける
  • 第三章 コンプリメントトレーニングで育っている子どもたち
  • 第四章 コンプリメントトレーニングを広めていくために
  • エピローグ

 

要約・メモ

  • 発達凹凸の子どもは、自信の水不足。家庭生活や学校生活で否定されることが多い。褒められもするが、相対的に叱られることが多く、そのため自己肯定感も低い。それが凹凸を顕著にし、また叱られる、という悪循環へ。
  • 自信の水は、愛情と承認の言葉で作る。愛情=お母さん嬉しい、承認=~の力がある。愛顔愛語で、心から「世界一あなたのことが大好き」「あなたは本当にこのような力を持っているのだ」と親の本気の心を込める。
  • コンプリメントトレーニングは、Plan-Do-Seeで試行錯誤しながら、リソースの見つけ方、子どもとのやり取りの仕方などを身に付け、親子の信頼関係を再構築していくもの。
  • 存在の価値と道徳心のインプット:発達凹凸があっても、子どもは神仏から命をいただき、この世に誕生している。その奇跡を子どもにインプットしてあげる。コンプリメントの力とは「人に役立つ力なのだ」と機会あるたびに繰り返しインプットを。
  • 発達に必要な3つのスキル:①パニックを起こさないスキル、②感情をコントロールするスキル、③先の見通しを立てるスキル
  • かつては発達凹凸の子どもはわんぱくな子や変わった子として受け止められ、それほど問題にされなかった。子供の頃は、大人が思いもよらないようなことをするけれど、そのうちに落ち着くからそっと見守りなさい、と言っていたもの。子供に対して社会がおおらかだった面もあったが、今の社会は許容範囲が狭く、発達凹凸の子どもにとって生きづらくなっている。
  • コンプリメントトレーニングの課題:発達凹凸の考え方に幅を持たせること。こうあらねばならいという固定観念では、子どもの動きが見えてこない。また、子どもの反応に不安をもってしまいコンプリメントの継続を難しくさせる。親のモチベーションを保つことが必要。
  • コンプリメントトレーニングの通信教育:通信教育の期間は90日、約三カ月。計画的に進めばコンプリメントと発達に必要なスキルをすべて学べる。子どもの状態によって長短はあるため延長して学ぶ方も。
  • レーニングセンターとサポート校:直接支援である面接やアクティブラーニングも取り組み。ノートの添削やメール・ZOOMを活用するが、子どもの状態を直接知ることや親御さんへの対面指導も必要。サポート校を開設したい。
  • 学校は行き方を教えることが必要になってきている:スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを導入し始めたにもかかわらず、不登校は年々増え続けている。学力重視へのシフトの歪みとして、先生の思い通りにならない子は発達障害とされる。不登校も増え続けている。ごく普通の子が、突然トラブル引き起こすことも。学校は人を育てる学びの場。その学力を何に使うのか、勝ち負けではない。生きているだけで自分に価値があるという生き方を教えて欲しい。発達凹凸の子どもにとってなくてはならない言葉。子どもの未来の可能性の種を発芽させる土壌づくり
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