まちづくり・社会教育活動の実践あれこれ

日々への感謝とアウトプット

読了「詩集 二度とない人生だから」坂村真民

どんな本

鳩寿(90歳)を迎えた希代の詩人・坂村真民の代表作を編んだ決定版の第二弾。3万部を突破した前作『念ずれば花ひらく』につづき、半世紀にわたる詩作生活で生み出された作品がたっぷりと収まった一冊。より深く、よりあたたかく、心にしみる真民詩の数々。

 

感想

全編を通して流れる「慈愛」の心が印象的。人生ははかない、だからこそ一所懸命世の為人の為に生きる、そのことを優しく柔らかい言葉で語りかけてくれる。まさに詩は心のサプリメント。人の生き方を認め、肯定し、やさしく包んでくれる一冊。

 

表紙

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(とくに心に残った詩)

 

何が

一番いいか

花が一番いい

花のどこがいいか

信じて

咲くのがいい

 

せい一ぱい

どんな小さい花でも

せい一ぱい

咲いているのだ

だから

かすかな自分でも

せい一ぱい

生きてゆこう

 

食器類

妻が帰ってくると

家のなかの空気が

一ぺんに動き出し

まず食器類が生き生きとしてくる

 

宇宙

一字に 宇宙がある

一音に 宇宙がある

一輪の花に 宇宙がある

ああ お前もいつか 宇宙となれ

 

四訓

川は流れていなくてはならぬ

頭は冷えていなくてはならぬ

目は澄んでいなくてはならぬ

心は燃えていなくてはならぬ

 

千も万もの手が

わたしをきびしく

打ちのめす日と

千も万もの手が

わたしをやわらかく

つつんでくれる日とがある

 

三学

いかに生きるかを学べ

いかに愛するかを学べ

いかに死すかを学べ

 

二度とない人生だから

二度とない人生だから

一輪の花にも

無限の愛を

そそいでゆこう

一羽の鳥の声にも

無心の耳を

かたむけてゆこう

 

二度とない人生だから

一匹のこおろぎでも

ふみころさないように

こころしてゆこう

どんなにか

よろこぶことだろう

 

二度とない人生だから

一ぺんでも多く

便りをしよう

返事は必ず

書くことにしよう

 

二度とない人生だから

まず一番身近な者たちに

できるだけのことをしよう

貧しいけれど

こころ豊かに接してゆこう

 

二度とない人生だから

つゆくさのつゆにも

めぐりあいのふしぎを思い

足をとどめてみつめてゆこう

 

二度とない人生だから

のぼる日しずむ日

まるい月かけてゆく月

四季それぞれの

星々の光にふれて

わがこころを

あらいきよめてゆこう

 

二度とない人生だから

戦争のない世の

実現に努力し

そういう詩を

一篇でも多く

作ってゆこう

わたしが死んだら

あとをついでくれる

若い人たちのために

この大願を

書きつづけてゆこう