まちづくり・社会教育活動の実践あれこれ

日々への感謝とアウトプット

読了「コロナ後を生きる逆転戦略」河合雅司

どんな本

少子高齢化による人口減少に加えてコロナ禍に襲われた日本に、逆転のシナリオはあるのか。企業も個人もコロナ後を生き抜くには、今までの常識を一切捨てて「戦略的に縮む」しかない。大ヒット「未来の年表」シリーズの著者が具体策を提示する。

 

感想

とにかく有益でしかなかった一冊。特に第4章では、まちづくりについて言及されており、自分の地域活動において非常に勉強になる考え方を指南いただいた。50代人生設計で地域コミュニティへの回帰は意外性のある提案。地でやっていきたいと思える逆転戦略の数々は一読の価値あり。

 

表紙

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目次

  1. 先進国脱落ニッポンの逆転戦略
  2. 日本企業は高品質低価格を捨てよう
  3. コロナ後に勝つビジネスパーソンの働き方
  4. 縮小ニッポンの新しい生活様式とまちづくり
  5. 人生の未来年表で戦略的に生き抜く

 

要約・メモ

(まえがき)

  • 最大の懸念事項、少子高齢化人口減少。縮小するマーケットで「戦略的に縮む」ことの重要性。
  • すべての産業分野で勝つことができない。売上高を競うのではなく、1人あたりの営業利益をアップさせること。

(第1章)

  • 労働力と消費者の減少、経済全体が縮小。子供たちが大人になる20年後を想定してデータを読み解く必要
  • 紙オムツ生産は赤ちゃん用より大人用の方が伸びている。
  • コロナ前の生活には、もう戻れないと覚悟すべし。
  • 2020年に50歳以上の女性の人口が49歳以下を追い抜いた。女性の2人に1人が50歳以上の国になった。
  • 出産期(25〜39歳)女性の絶対数がどんどん減る。30年間で260万人減少。
  • コロナ禍を逆手にとって戦略的に未来を再構築しよう。
  • 2024年国民の3人に1人が65歳以上。2026年認知症患者が700万人規模で。2033年全国の住宅の3個にいっこが空き家になる。2042年には高齢者が4千万人で多くは一人暮らし。

(第2章)

  • 売上高ではなく一人当たりの営業利益を基本指標にすべし。一人当たりの営業利益ランキング、5位ワークマン、6位ZOZOなど。
  • 稼げない事業を売却、外注できる仕事は任せてしまう。業務の効率化は、生産性を上げていく大きな手段。
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用、単なるITによる省力化ではなく、企業文化・風土を変革して競争に勝つのが本当のDX
  • マーケットの4割は高齢者、困っている事、日常生活に新たなビジネスチャンスのヒント。

(第3章)

  • 会社にしがみつかない、縛られない働き方を。
  • 年功序列による賃金上昇はもう見込めない。
  • 勤務時間の長さよりも利益への貢献度が問われる。業務達成度時間管理能力がカギ。
  • DXに対応できるデジタルスキルを持つこと。文系出身で中級スキルの人が一番危ない。

(第4章)

  • 24時間営業をやめて売上増。「便利すぎる」から「適正な便利さ」へ。
  • コンビニ人手不足。外国人従業員の割合、ミニストップ10%、セブン8%。
  • 住みたい街ランキング関東版で上位キープの吉祥寺、少子高齢時代の街として理想的。すべての用事が車なしで済む。老後の暮らしを考えて、家ではなく街を選ぶ
  • 物件や居住空間の問題ではなく、物件を取り巻く環境やそこに住む人々とのつながりを選ぶことの方が重要。まちづくりにコミットできる地域を選択するべき。
  • 第二次安倍内閣が掲げた「地方創生」2つのミス、① 2060年まで人口1億人規模を維持できる前提に立ったこと。どっち本来であれば人口が減っていくことを大前提に議論すべきだった。単なる地方活性化策になってしまった。②創生する地方がエリアでなく地方自治体に入れ替わってしまったこと。地方自治体の生き残り策になり果ててしまった。「戦略的に縮む」と正反対の動きに。市町村を残すことが目的ではない。
  • 人口減少時代のまちづくり:①自治体の区分けを前提にしない、人モノ金が循環するネットワークを作る。500から1000人を最小希望として10万から30万人規模の商圏を作る。②地域商社、ヨーロッパの地方都市ブランド、ブルネオクチネリ・イタリアのメロメオ村、少量生産・少量販売でかつ高付加価値のビジネス
  • 子育て支援策に力を入れる自治体、子育て世帯の転入を自治体同士で奪い合っているに過ぎない。その子供たちが一定の年齢に達するとその街からいなくなる可能性大。人口減少社会への根本的な解決策にはならない。
  • 高齢者を集住させて公共サービスのコストを下げる。老後2千万円議論はナンセンス。サービスを利用しようにもそれを提供する人がいない。静岡県浜松市店現在7つの区を2〜4に再編する案を検討中。

(第5章)

  • 40代・50代・60代の年代別マネジメント計画を。アフターコロナ時代の考え方、終身雇用も年功序列の賃金アップも続かない。人口減少社会を生き抜くには今までの常識を捨てること。これが本書の最大メッセージ
  • 社会保障制度をあまり当て込まない、自分でできる事を一つでも多くしておくこと。
  • (40代)自分の年齢を書き込んだ人生の未来年表を作る、妻子や親の年齢も書き込む。節目に応じてプランは書き換えて。
  • 70歳まで収入を得られるようにしておく。セカンドキャリアに向け仕込める最後の10年。
  • (50代)資産・人脈・スキルの棚卸しを。住宅ローン返済は終わらせておく。子育てと親の介護が重なるダブルケアに注意
  • 「共助」ネットワーク作りを進めておく。普段から協力し合える関係を築く。防災訓練などに参加して地域に溶け込む。
  • (60代)生活コストを戦略的に縮小して。家や車の売却で可処分所得を増やす。
  • おしゃれをして趣味を発表できるような社交場を見つけて。
  • 配偶者に先立たれたら同棲パートナー見つける。