まちづくり・社会教育活動の実践あれこれ

日々への感謝とアウトプット

読了「みんなに好かれなくていい」和田秀樹

どんな本

たくさんの人から好かれる人が素晴らしいという思い込みを捨てること。表面的な友だちではなく、心から信頼できる親友をつくること。人間関係に悩む全ての方へ、精神科医の著者が心を楽にする具体的方法を伝授。

 

感想

ほとんどに共感できる内容。親や大人の子どもに対する役割も多数書かれており勉強になった。「若い頃こそ一人になる時間が大切」は特に共感。みんなに好かれなくていいんです。

 

表紙

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目次

  • はじめに
  • 第1章 友だちは本当に必要か
  • 第2章 嫌われるのが怖い?
  • 第3章 本当の友だちをつくる方法
  • 第4章 自分のパフォーマンスを上げる
  • 第5章 自分を発揮できる世界を探す
  • さいごに

 

要約・メモ

(はじめに)

  • 新型コロナにより生活激変。一斉休校、友だちとの交流がSNSだけになると不安を感じる子ども。
  • 今の学校、子どもを傷付けないよう指導、いじめも減少、表面上はみんな仲良し。学校にいる間だけは安心できるが、休校でもオンラインのやり取りが減ると悩む。「友だちと繋がっている確証がないこと」がつらい。
  • 多くの人が人間関係に自信がない。仲間はずれ恐怖。戦々恐々と生きているのでは。
  • 友だちが多い人の方が幸せなはず、という幻想
  • 2014年、全国家庭児童調査、18歳未満1000人対象、大切だと思うこと3つ。1位「健康であること」2位「友だちがたくさんいること」3位「将来に夢を持っていること」4位「勉強ができること」
  • たくさんの人から好かれる人が素晴らしいという思い込みに苦しめられている。その思い込みを捨てること。
  • 表面的な友だちではなく、心から信頼できる親友をつくること。さらに大切なのは、自分が最大限に輝ける場所を自分で探すこと。
  • この本では、そんな親友をつくるためにはどうしたらいいか、今の自分を変えるにはどう行動したらいいか、の具体的方法を記載。精神科医として心をラクにする方法も。

(第1章)

  • 「おまえの母ちゃんデベソ」の悪口、なぜ相手本人ではなく母親を攻撃?子ども時代は母子が一体化しているから。相手の母親を攻撃すれば相手の人格も攻撃できるという思考。しかし10代になると親に言えない秘密(好きな人、エッチ、性的興奮)。今度は自分が異常ではと疑問。秘密を打ち明けられる相手が必要に。その話せる相手が親友となる。徐々に友だち関係が広がりグループ同士で行動する思春期。これが精神分析の世界での思春期の心理発達の基本形
  • まずは一人の親友をつくることが大人になる第一ステップ。
  • 子どもに対する虐待のうち、親に暴力を振るわれるよりも、親に無視されるネグレクトの方が子供に与える精神的ダメージが大きい。殴られたり蹴られたりする方が無視されるよりもまだマシ。いじめでも見られる構図。
  • 親友を持つ意義、①自分を客観的に見てくれる存在、②いざと言う時に、精神的な支えになってくれる存在
  • 友達みんなに嫌われないようにしておこう。そうすれば安心していられると言う発想。そのせいでそれほど興味ないYouTubeや動画をチェック、SNSでこまめに返信、などやらなければいけないことが多く、精神的に疲弊。
  • 反対に親友だと思える人が1人2人程度であっても、相手としっかり向き合えて、信じられるなら、人間関係のしんどさはそれほど感じない。
  • 周囲の大人たちの存在が子供たちの人間関係をさらに複雑にしている。スクールカーストをあえて利用する教師。親が人の目を気にしていると、その子はますます人の目を気にする。
  • 「親はいつでもあなたの味方だ」「あなたはあなたのままで良い」と言う無条件の愛情を
  • 自分は自分のままで大丈夫だと言う根源的な自信や精神的な強さに。
  • 友達の悪口を言ったとしても、正論で叱ってはいけない。私の前ではいいけど、外で言うとまずいかもねと諭して。親の私だけは味方だから、あなたの個性を尊重しているよと言ってあげて。子供と対話しながら、子供がより良い人間関係を築くサポートをしていくのが親の役目

(第2章)

  • 勝ち負けを経験してきた人の方が、負けた人間の気持ちがわかるのではないか。
  • 究極の競争社会であるはずのアメリカで、寄付行為やボランティアが多く行われる。こうした理由なのでは。
  • みんな仲良しであるかのように信じ込ませる害が、弱者に厳しい社会を生み出しているのではないか
  • 選挙の時、昔はどの候補者が優勢かと言う予測記事を書くと劣勢に立つ人の支持が増えた。最近は予測記事を書くと言う声に達人の支持が増えるように、自分が大多数のマジョリティー側にいる事に安心感を持つ人が増えている。コロナで、その傾向が顕著、見えない同調圧力が強く。
  • 強迫観念や不安を可視化しているのがSNS
  • 初期のインターネットは、オタクたちの心強い味方だった。SNSがマジョリティーになって、同じ考えや、趣味のつながり合うツールと言う側面より、「つながっていなくてはならない」と言う同調圧力のツールに。
  • 周囲の人たちに合わせる生き方をしていると、なぜ疲れるのか。多くの人は、自分が周りから変わり者と思われることを嫌う。仲間外れにされないためにみんなと同じであろうとする。誰かに反論したくても、その思いを飲み込んでしまう。
  • もしもいやだなと感じたなら嫌だなぁと言っていいのです。こういう考え方見方もあるんじゃないかといってもいい。言い出せないなら自分に嘘をつかず、せめて無言でいれば良い。たったそれだけの事でも自分の感覚を信じて行動したことで、つまり嘘をつかなかったことで、あなたの中には小さなほこりが生まれる。自分の感覚を信じて行動すると言うのは、本当はとても誇らしいこと
  • 現在の心理学では「幸せは主観的なもの」と言う考え方が主流。自分の感覚を大切にして、それを信じる気持ちがある人の方が幸せに生きられると言うこと。
  • 自分の気持ちを押し、殺している限り、自分のすぐそばにある幸せに出会えない生き方になってしまう。本当に好きな人に思いを伝えられないのに、対して好きでもない人たちに無理して気に入られようと一生懸命になる自分。そんな自分の姿を誇りに思うことができるのか。
  • 人間関係を良くする3つの方法:①少数でいいから、信頼できる友達(親友)を作る。②自分のパフォーマンスを上げる(周りに合わせなくても生きていけるようにする)。③自分のパフォーマンスが発揮できる世界を探す。
  • 大事な事は、どんなことでもいいから、自分の足でファーストステップを踏み出すということ。

(第3章)

  • 親友1人いれば十分。大勢の友達よりも信頼できる友達。
  • ①嫌われないより好き好かれるを考える
  • ②気の合う人を見定める能力を磨く
  • ③ 1人がダメでも諦めずに別の人を探す
  • ④初めから正解を出そうとしない

(第4章)

  • 学歴は偉くなるために得るものではなく、人生の選択肢を増やすために必要なもの。
  • 自分をしっかり持っている人は、信念や覚悟がある。自分のパフォーマンスで生きていくこと
  • 自分のパフォーマンスを上げるためには、どうしたらいいか、失敗をすること、すればするほど成功に近づいていく。
  • 一人の時間は自分の可能性を引き出して伸ばすことができる貴重な時間。孤独は悲しくない。自分のやりたいことや目標に向かって、自分を充実させる時間。
  • い頃こそ、ときどきは一人になることが大切。自分の中の大切なもの、どんな人間で何をしたいのか、自分と会話して。

(第5章)

  • 子どもの世界は非常に狭い。学校で仲間はずれに、塾で気の合う友達ができ深刻に捉えずに済んだ。ここから逃げることができない閉塞感が思考を狭くする。
  • 自分に合わないと感じるなら、別の世界を探して。
  • 別の文化を知り、友達もでき居場所ができると、冷静に自分の周りを見られるようになる。だからこそ、子どもの頃から多様なコミュニティに属しておくことが大切
  • 人間はストレスが大きくなると考え方の視野が狭くなり、自分はダメだという思考から抜け出せなくなったり、周りの意見を聞き入れられなくなる。(心理的視野狭窄
  • 学校とは別の価値観を提供してくれる場所を探して。実力主義の世界も良い、シビアだが得る力は本物
  • 子どもが合わない学校に無理やり通わせて精神的な負担を負わせるのではなく、「そんなに辛いなら行かなくてもいい。ただし勉強だけは続けておかないと将来自分が損をしてしまうよ」と丁寧に教えてあげるのが親の役目。
  • 今の学校教育方針は「いじめをなくそう」だが、表面的な仲良しを強制することに。見えないところで進行しているケース。
  • いじめを完全になくすのは不可能。いじめをなくそうではなく、いじめられたときの対処法を教えておくべき。いじめられたら逃げていい、SCに相談して、辛ければ学校に行かなくても良いなど。いじめが起きた際にどうすればいいかを徹底的に教えて。
  • いじめる側も、暴行罪や傷害罪、強要罪や窃盗罪、恐喝罪、脅迫罪、侮辱罪が成立する可能性を教えて。警察に突き出されれば二度といじめはしない
  • 親や大人の価値観が全て正しいわけではない。読書で人の生き方、考え方を疑似体験して。人の数だけ考え方がある。色々な立場の本を読むこと
  • 今の日本は正解を一つに決めがち。錯覚に陥らないこと。
  • 本を読む人は心が折れにくい。現実の世界が辛い時、より苦境にありながらも「負けまい」と懸命に頑張る先人の姿に勇気もらう。
  • 自分の人生の価値は自分で決める。自分が生きていることが楽しいと思えることこそ、人生の大きな価値。