どんな本
市民と行政がタッグを組んでまちをより良いものにするためにはどうすればいいのか?本音をぶつけあって目的を達成した具体的なケース紹介からそのロジックを考える。
感想
現在進行形で行政と協働を試みている自分にとってど真ん中のテーマであり即座に手に取り拝読。一つ一つを自分のまち・人に重ね合わせながら楽しく学ぶことができた。素晴らしい書物を作成いただき感謝。
表紙
要約・メモ
- この本は、3つの地域、6つの物語。ノウハウ集でもマニュアルハンドブックでもない。あくまで他人事である。これらの物語を自分事にして。
(第1章)
- (白澤氏・コードフォー流山代表)
- 千葉県流山市、人口約20万、東京のBEDTOWN。キャッチフレーズ.「母になるなら流山市」。
- 興味本位で市民活動に参加。シビックテックとは市民自身がテクノロジーを活用して、地域課題解決に取り組む。
- 「1つのものに光を当てるとその後にくっきりと影ができる。輝いて注目を浴びれば浴びるほど影である反対意見も強くなる。自分たちはその影も一緒に受け止めなくてはいけない。」
- 地域の課題を解決するのはしんどい。理由①市民活動と行政との連携。②活動を続けていく間に課題が自分事と乖離してしまう。あるべき論に陥る。
- 市民活動はボランティア活動であり、奉仕だと説明される時がある。しかし、社会教育的には、成長欲求を満たし、学びの循環によって行われる活動である。成長欲求を満たすには自ら考え行動すると言う手順が必要。良いリーダーではなく影からサポートするすみっこプレイヤーが必要。
- (河尻氏・市行政課長)
- 人は、自分が面白いまたはどうにかしたいと感じるテーマならば、自ら動くことがわかっている。自分事となったテーマで、自分が動くことで、街が少しでも良くなった実感があれば、それが初期段階では報酬となる。行政はその気持ちを丁寧に理解することが必要。
- ボランティア要員として、安易に行政がやりたいことの枠に街の人々をはめ込むのではなく、市民と行政はお互いのメリットとなる所見出して、役割分担をはっきりさせておくことがうまくやれる第一歩。市民と行政のどちらか一方的なお膳立てをしたり、シナリオを作ってしまうのでは、お互いの満足度が上がらず、もう二度と一緒にやりたくないとなりかねない。
- (河井氏)
- 花びらモデルとは、自分を複数のいくつかの文脈(=花びら)に位置づけつつ、その複数の文脈を重ねる存在として、自己を認識するモデル。あるいは、様々な花びらをまとうと努め、まとった花びらを別々のものとするのではなく、自己と言う1つの存在として重ねて把握しようとする努力を期待するモデルである。これによって、今私は花びらのどの部分で共同しようとしているのかを冷静に認識し、その上で他のはなびら(=文脈)からの資源を利用できないかを冷静に検討することが可能になる。
(第2章)
- (中垣氏・グラフィックデザイナー)
- 自治会やPTA活動は長年、様々な人が関わり作り上げてきたもの、変えるには時間と精神力。昨年と同じことをするのではなく、みんなで作り上げていけば、仲間も増える。
- 若い世代が地域活動に関わるきっかけの一つ、自分の好きなこと。地域とデザインを掛け合わせて、好きな空間を創れるのではないか。
- 活動の原動力は自分が楽しめること。結果として誰かのためになっている、くらいがちょうどいい。
- (大垣氏・生駒市広報課長)
- 行政の画一的なサービスよりも、一人ひとりの想いがまちの温度を上げまちの未来を作る。
- 何が起こるか、予測できないこと、にこそ価値がある。市民活動は、課題解決型に比べ魅力創造型は軽視されがち、数値で表せないが継続していく必要性ある。
- 地方創生というが、個が動き、個がつながることでしか、社会は変わらない。つながり巻き込み社会にインパクトを。フォロワーを増やしコミュニティを作りムーブメントに。これからは個人創生。
- 魅力的な出会いが増えていけばまちに大きなインパクト。まちへのコミットが増えていけば地域は自走できる。「自分の手で暮らしをデザインできる」という実感を持つ人と手を取り合って、生駒で暮らす喜びを共有できる人を増やしていきたい。
(第3章)割愛
(第4章)市民側対談
- 行政とは向き合うより横に並んだ方が良い。
- 行政も市民。市民としてよくしたいと思っているか。
- 行政は市民を応援してくれる機関。
(第5章)行政側対談
- 共感するポイントはどこにあるか。
- 街のため?自分のため?「私こういうことやりたいんです」と最初から言われる人の方が信頼できる。
- 行政が入らなくても人をつなげて共助できることもある。