どんな本
起業しないと損をする。起業家精神という情熱の炎はかつて暗闇の中にあった僕の人生を明るく照らしてくれた。兄・成田悠輔のひと言がきっかけだったー会社員であることは人生最大のリスクである。
感想
そこに足を踏み入れた者、それをやってみた者にしか分からない・語れないこと、その観点で書かれた起業のための指南書。最近、兄よりもメディア露出が多くなってきた?氏による最新著書、「何事においても指示待ちではなく、自分で考えて仕事を進める」「特定の仕事だけでなくマルチタスクで働く」の2点は特に共感。さあ、自分の人生を自分で歩もう。
表紙
要約・メモ
(第1章・借金まみれの家庭で覚醒した起業家人生)
- 父を一言で言い表すなら「知的な社会不適合者」。麻布中・高出身。
- 父と母の関係は共依存のような状態。母が倒れ急性くも膜下出血と診断。
- ヤングケアラーに。いかに安く栄養価の高い食事ができるか。
- 兄からもらった本36冊のリスト。思考の幅が広がった、優れた本から世の中の様々な価値観、多種多様な考え方わかる。
- 高校3年の9月から一気に受験モード、東大合格を戦略的に目指す。頭の良し悪しよりテクニック、マインドセット。
- 起業家精神:何かに依存せず自立して、社会や人のために目標を立て、リスクをとって行動する姿勢。
- 慶應義塾大学へ入学しOVALという起業サークルへ。日本と中国と韓国の学生が一同に英語でビジネスプラン作成、国際ビジネスコンテスト運営。
- インターンとしてパテントビューロに入社。20歳で大学生とベンチャー企業社員という二足のわらじ。
- 学生起業に挑戦、アートサービスの立ち上げ。1年で撤退し挫折。
- クラウドワークスにインターンとして入社。2年後に東証マザーズへ上場。
- 目標を決めたら、何が何でもやり切る。泥くさくても、人から否定されても、自分を信じて動き続ける。
- 執行役員は事業を伸ばすためのアイデアを固め、実行し続けることが求められる。経営は実行。
- ここからあえて自分でリスクを背負ってでも、新たなチャレンジをしなければ、自分の人生を生きたことにならない、と考えた。
(第2章・スタートアップは日本に残された唯一の希望)
- 失われた30年、イノベーションを起こせなかった。アマゾン、アップル、破壊的イノベーションに対し日本から打ち返せなかった。
- 日本で世界的企業が生まれにくい理由の一つ、国内需要の大きさ。逆のシンガポールや台湾などは国内需要だけでは大きなビジネスに育たないので最初からグローバル企業を目指す意識が高まる。おのずと戦い方が違ってくる。少子高齢化と人口減少時代、海外に打って出る好機。
- 2022年11月に公開された対話型AI「ChatGPT」。技術の進歩を恐れるのではなく、いかに活用するかというマインドが重要。
- 人生100年時代(LIFE SHIFTの中で提唱されたワード)、どんな変化が訪れても学び直し、自分の目標を再設定し、適切なリスクを取りながら行動できる起業家精神がより大事に。
- スタートアップの資金調達額は2011年に比べ10倍以上に。
- 日本にユニコーン企業100社、スタートアップ10万社誕生を目指す政府。岸田内閣5ヵ年計画発表。
- 挑戦しない理由なし。変化の激しい環境ではチャレンジしないことがむしろリスクに。昔ながらの成功概念から飛び出した人が活躍する時代。
(第3章・5つの企業戦略:副業、独立、社内起業、転職、スタートアップ起業)
- ①副業:先端企業の社員40%が副業をする時代。自ら主体的に学び、動き、価値を生む。そんな起業家精神を持つ人材を集めるために、多くの企業が多様な働き方を認めている。
- まずは「収入アップ」を目的にして構わない。日本では終身雇用が前提の賃金制度が維持されている企業が少なくない。
- もしも現在の給料に不満を感じているのなら、たとえば「本業80%、副業20%」のイメージで複数の仕事を持てば、収入を増やしやすくなる。
- 本業と副業でシナジーを高める。自分の80%の力で、本業で求められる役割を100%果たす。そして残りの20%の力を副業に向ける。
- ②独立:労働力人口の半数がフリーランスになる時代。アメリカのフリーランス人口は全労働者人口の36%、高学歴ほど高く大学院修了の学歴者の51%がフリーランス。日本もアメリカ並みに高まっていく。
- 電通の早期退職プログラム、早期退職後に個人事業主となり、電通の子会社と10年間の業務委託契約を結ぶしくみ。
- 自分らしい生き方を実現する、やればやるだけ自分の収入が増える、フリーランスの大きな魅力。
- いつ、どんな形で、という目標を立てて、必要なスキルや経験を積み重ねていくこと。
- ③社内起業:会社員として新規事業を立ち上げる。イントレプレナー、社内(インサイド)と起業家(アントレプレナー)の造語。
- 社内起業を経験する3つのルート:ルート1社内公募に応募する、ルート2新規事業担当者として抜てきされる、ルート3自ら新規事業を上司に提案する。
- 社内起業の最大のメリットは失敗したときのリスクの低さ。あくまで会社の資金による事業。失敗しても給料は減らない。
- 社内起業の最大のデメリットはリターンが小さい(限定的)ということ。
- ④転職:最も魅力的な転職先はスタートアップ企業もしくは従業員500人以下のベンチャー企業。
- スタートアップの平均給与は上場企業の平均給与を超えている。
- 大企業とスタートアップの間を行き来するスタイルの転職も。
- 上場したスタートアップに入れば、すでに事業は形になりある程度落ち着いた環境で仕事できる。良い面だけをいいとこどりで吸収。
- スタートアップに向く人、向かない人。「目的意識が明確」「好奇心が強い」「変化を楽しんでいる」。逆に「自分がない人」「指示待ち族」のような受け身体質な人はスタートアップで活躍しにくい。
- ⑤スタートアップ起業:高難易度だが夢がある。最上級のイメージはGAFAMやテスラなど。日本ではソフトバンク、楽天、メルカリなど。
- 急成長するための多額の先行投資、創業初期から多額の資金調達。
- すでに市場にあるものよりも圧倒的に付加価値の高いプロダクトを生むことにチャレンジ。
- 学生起業は超ローリスク・ハイリターン。会社を自分で動かす経験で、株式会社、資本主義、お金の流れや消費者の心理など、社会全体のメカニズムを体感し学べる。
- 起業プランを立てるとき3つの着眼点。①大人が理解できない分野で勝負、②行動力で勝てる領域を選ぶ、③注目されていない市場で戦う。
- 若者ならではの強みを武器にすること、行動力こそ競争優位性、人が注目していない領域は一人勝ち、それに気付くには自分の個人的な興味が手がかりになる。
- まずは自己資金+借金でスタート。優先順位①自己資金、優先順位②知人や金融機関からの融資(借金)、優先順位③VCからの株式による資金調達。
- 資金調達にはデメリットも。どんな方法にせよ代償(資本コスト)があることを認識して。急成長や上場、売却が求められ、経営上のプレッシャーに。
- チームは少数精鋭がいい。基本は2〜3人で立ち上げが理想。
- 若い時の起業の失敗にリスクはない。チャレンジした時点で成功の道が拓かれている。その経験が別のスタートアップに役立つ。
(第4章・自分の人生は自分でマネジメントする)
- 起業家という冒険において核となる考え方、目標設定が人生を決める。何をすべきかよりも何を目指すべきか。
- ①人生にいくつかの選択肢があることを理解し、その中で目標を決める、②現状と目標の差を明確にして理解し、行動によりその差を埋めていく。基本的には①と②の繰り返しで、極シンプル、最高の戦略。
- 起業教育の名門・米バブソン大学では、getting out of your comfort zone(コンフォートゾーンを飛び出すこと)の重要性を叩き込まれる。
- 目標設定に役立つフレームワーク「SMART」:①Specific(具体的に)②Measurable(測定可能な)③Achievable(達成可能な)④Related(経営目標に関連した)⑤Time-bound(時間的制約がある)。
- 素晴らしい成果をあげる起業家にはある共通点。「過去をリセットするアンラーン」を積極的に自分に課していること。
- アンラーンの肝となるのは「学ぶ前に捨てる」こと。常に大局的な目的志向で目標設定。既存の知識にあぐらをかかず、むやみに新しい知識に飛びつくわけでもなく、起業家という冒険の観点から学びを深めていくこと。
- 3つの視点で自分を深く省みる。世の中が進む方向・今の自分がやりたいこと・今の自分ができることの三角形を描いて。
- リスクがないところにリターンはない。投資の世界ではリスクとリターンは比例するのが常識。ローリスクこそハイリスク。
- 自分の人生は自分でコントロールすること。今の自分から14歳の自分へ。起業家精神を持って自立せよ。