どんな本
わが子の強みを見極め、伸ばす35の具体的方法。この世に強みのない子はいません。賢さ、やる気、コミュ力が絶対身につく。わが子に贈る「人生最高の宝物」。
感想
子どもの気質を大きく5つに分類(天才気質・研究者気質・商人気質・パフォーマー気質・共感者気質)し、それぞれの育成方法をかなり具体的に指南してくれる子育てノウハウ本。強みのない子などただの一人もいない、と著者が言う通り、一人ひとりに合った強み育てを、本著を読んであなたもぜひ実践してみませんか。とくに第3章、子どものやる気を引き出す方法は、必見の価値あり。
表紙
要約・メモ
(はじめに)
- 自分のやりたいことを見つけて、自分らしく生きてほしい、親が子供に抱く共通の願い。
- この世に強みのない子などいない。全ての子が「強みの芽」を持って生まれている。だからこそ、一人ひとりに合った「強み育て」が大切だ。が本書で伝えたいこと。
(第1章・子どもの強みを見極めよう)
- ①「褒める」から「強みを伸ばす」へ
- 「勉強ができて偏差値が高い=優秀」と見なされる時代は終わった。いち早く気づいたアメリカの教育は大きく変化。
- SATやACTなど学力テストを完全撤廃した学校増加。代わって注目は情熱。
- 将来どんな道に進みたいのか自分の情熱をストーリーに織り込み、自分の伸び代をアピール必須。
- 自分らしさを発揮できる人間力が必要。
- 「苦手の克服」よりも「強み作り」で子どもは伸びる。強みを伸ばすと悪い面は目立たない、弱みをつつくと良い面が萎縮する。コインの表と裏。
- アメリカで褒める子育て、最初の世代は1980年代はじめから1990年代後半までに生まれたミレニアル世代。
- 自己顕示欲が強く、ポジティブな楽観主義者である半面、怠け者で権利の主張ばかりするナルシスト、親に依存。
- なんとなく褒めるのではなく、「絵の色使いがユニークで素敵だね」と、良い面を具体的に。
- 1996年以降に生まれたZ世代の子供たち、より自分らしさに価値。
- 今、必要なのは強みを作る子育て。
- ②気質が子どもの伸びしろを決める
- 気質=性格的特性、素質=身体的特性、才能=技能的特性と明確に区別。最も重要なのは気質。
- 「軸になる気質」はビッグファイブで見極める。①開放性(好奇心)、②誠実性(まじめ)、③精神耐性(情緒)、④外向性(社交的)、⑤協調性(仲間意識)。
- 気質別の褒めポイント:①目のつけどころが違うね、ユニークだね。②集中力があるね、分析力があるね。③がんばり屋だね、意志が強いね。④社交的だね、積極的だね。⑤思いやりがあるね、よく目が届くね。
- ③「素質」は子どものルーツに隠されている
- 大人になってからこれが自分の強みと気づくよりも、子どもの頃から自分の特性を知り、「ポジティブに活用しようとする思考習慣」を身につけておく方がはるかに有利。
- 外見的素質のキーワード:背が高い、スタイルが良い、容姿端麗、美人、体格が良い、肌が綺麗。
- 身体能力的素質のキーワード:腕力が強い、バランス感覚が良い、手先が器用、表現力が高い。
- 頭脳的素質のキーワード:記憶力が良い、数字に強い、知的好奇心が旺盛。
- ④才能は5つの領域から見極める
- ①STEM的才能(数字に強い)、②言語・博物学的才能(本が好き)、③運動的才能(スポーツが得意)、④音楽的才能(リズム感が良い)、⑤アート的才能(絵を描くのが好き)。
- 各褒めポイント:①よく考えているね、頭の回転が速いね。②話が上手いね、物知りだね。③足が速いね、手先が器用だね、④素敵な声だね、音程が正確だね。⑤迫力があるね、色の使い方がユニークだね。
(第2章・子どもにベストマッチの習い事を探そう!)
- ⑤賢い親は「3つの視点」で習い事を探す:①地の利を活かす、②中学・高校の部活につなげる、③スキマ狙い。
- ⑥最強の習い事は「気質×才能×素質」でわかる!
- ステップ1:気質から子どもに合うスポーツを選択、ステップ2:才能からスポーツ以外の習い事を選択、ステップ3:素質から優先順位を決める。
- ⑦習い事の成否は「親の目標設定」で決まる。長期的なゴール、基礎技能の習得に専念、今いる環境でトップを目指す。
- プロになるには1万時間という法則。スポーツ・音楽・語学など技能習得は2000時間あれば頭一つ突き抜けることができる。
- 親は習い事の環境にも気を配る。無理なく続けられる範囲か、コーチの人柄や選手の雰囲気が良いか、他の保護者が協力的か。
- ⑧子どもの競争を避けてはいけない。目標を持つ、自分を客観的に理解する、敗北や失敗をバネに飛躍する力を身につける。
- 多くのアメリカ人家庭は、子どもが5〜6歳になると競技スポーツに参加させる。競争させるため、試合に出させ真剣勝負を経験。重要なのは勝ことよりも、負けてもくじけずに挑み続けること。子ども時代の競争は、将来社会で成功するためのトレーニング。
(第3章・子どもの「やる気」を引き出す方法)
- ⑨やる気を維持する最高の方法とは?:2つのコツ、①今よりも少しうまくしてあげる、②手が届く目標を持たせる。
- 親のサポートはルーティン化、毎日の繰り返しはつまらないもの、継続するためにルーティン化が効果的。淡々と同じ練習を繰り返す。
- 親はコーチではなくサポーターに徹する。子どもを受け入れ励ます。心身面のサポート、習い事の目的は自信を大きく育てること。
- ⑩自主性の強い子に育てるコツ:過干渉はしない、子どもの意欲を尊重、子どもに選択をさせる。
- ゲームをやめない子どもには選択をさせる。「いつやるのか自分で決めてね」名門難関大学の若手エリート、子ども時代は好きなことばかりしていた。
- ①①やる気を高める褒め方・ご褒美の与え方:できた瞬間をほめる(逆上がりで・上手にできたね!)、本気でほめる(すごい!感動を伝える)、良い面を具体的にほめる(外見でOK、笑顔がかわいいね)。
- 嫌味にならずに「子どもを上げる」3つの受け答え。「そうなのよ、トンビがタカを生んだのよ(自分を下げる)」「そうなのよ、旦那に似てくれて助かったわ(身内を上げる)」「ありがとう、〇〇ちゃんもすごいよ(感謝&褒め返し)」
- 言葉でほめるだけでなく、スキンシップを加えると効果は倍増。逆にモノでは釣らないこと。
- ①②やる気を高める環境作りのコツ:家に写真を飾る(自己肯定感)、子どもの写真と家族写真を飾る、子どもの作品・賞状・トロフィーを飾る。お手伝いは自主性とやる気を高める近道。3歳児には、公共の場と家庭のルールの違いを教えて。人に迷惑をかけない、をゴールにしないこと。にほんの若者の自己肯定感が低い原因。TPOに合わせて行動できるように導いてあげること。
(第4章・学業と習い事を両立させる秘訣)
- ①③文武・文芸両道がこれからの時代に求められている。勉強と習い事の両立がIQアップの近道。
- 勉強一筋の子どもは燃え尽きやすい。中学受験を終え入学した後に成績が下がり続ける燃え尽き症候群が社会問題化。
- タイムマネージメント能力。子ども時代に時間を好きなように使うことに慣れてしまうと、時間の価値が実感できない。
- 人間力を高める非認知能力は集団活動で育つ。その高さが将来の学歴、キャリア形成、経済的な安定、人生の幸福度の影響。
- ①④良好な親子関係を維持するコツ:1生活リズムを一定にする(ルーティン化)、2子どもとの対話を増やす(子どもをよく知る)。
- 最優先にすべきは「睡眠」。早寝早起きが基本、成長ホルモン。生活リズムの乱れの原因はほとんど親。
- 楽しく食事する家庭の子は成績優秀に。フランス人の食事に費やす平均時間2時間13分。家族全員が揃う食卓。対話を楽しむこと。その日にあった面白い出来事やニュースを話題に。
- 食事中の雑談で地頭が良い子が育つ。発想力や言語力を獲得。中身がない話ほど子どもをリラックス、ストレス発散。
- ①⑤習い事をやめたい!と言った時の対処法:1サポートしてうまくしてあげる、2技能差が埋まらない場合はやめる選択もあり。
- ブラック習い事に要注意。追い詰めないこと。ポジティブな経験を積む場に。厳しければメンタル鍛えられるというのは迷信。
- 受験のために習い事をやめるのは賢い選択ではない。短い時間で多くのタスクを終わらせる習慣づけで両立成功。メンタルタフネスとやり抜く力の醸成。
(第5章・天才気質を伸ばすカギは家庭にある)
- ①⑥天才気質の子は横並び教育で潰れてしまう。
- アメリカの学校教育、ギフテッド&タレンティドプログラムが存在。日本では、家庭で環境を整えてあげること。
- 早期英才教育を受けた子は、後天的な天才になりやすい。ポイントは「子どもの特性に合った教育」。詰め込み教育は逆効果。周りの継続的なサポートも必要。
(第6章・研究者気質を伸ばすカギは探究心)
- ②⓪もっと知りたい!を刺激しよう:1好きなことをどんどん探求させる、2情熱を刺激する仕掛けを親が作る。
- 小学生時代に「好き」や「やりたい」を徹底的にやらせて「探究心」を大きく育ててあげること。
- 親は「情熱を刺激する仕掛け」だけ作ればいい。
- 好きなことは学力アップへの特効薬。何か一つ得意分野を持たせる、これを意識して子育てに当たる、子どもの特性を伸ばすカギ。
- 人生に向かい合う姿勢、価値観、将来の夢など、人間形成に重要な時期を受験勉強だけで過ごしてしまうと、青年期に自己形成がスムーズにできず、周囲に流されやすい、なんとなく生きる人になる危険性。
- 好きなことを続けている子どもの方が受験勉強でも成功する確率が高く、合格後も伸び続ける。
- ②①研究者気質の子どもの学力の伸ばし方:1STEAM教育で好奇心を刺激する、2同じ関心を持つ仲間がいる環境を作る
- 小学校低学年から家庭でコンピューターを教える。子ども専用のパソコン(中古で十分)を用意して。
- 性別関係なく「実験」「工場見学」で興味を引き出そう。植物や野菜を栽培してみるのも良い。
- 1スクリーンタイムのルールを子どもと一緒に作る、2子ども部屋にはパソコンやテレビを置かない、3子どもを暇にしない。
- テクノロジーを作り出す側の思考にふれさせる。使われる側から使う側に回ること、これからの社会を生き抜く。
(第7章・商人気質は「競争心」「お金教育」がカギ!)
- ②④商人気質の子どもは競争で伸びる:1負けず嫌いのベクトルを見極める、2環境を変えてチャレンジ精神を養う
- 現状の1割増しの目標を設定し、わざと少し居心地の悪い状態を作る。ポイントは「ワンランク上」、少しのストレスでチャレンジ精神が高まる。
- 習い事はコンフォートゾーンから出る訓練に最適!
- ②⑤商人気質の子どもの学力の伸ばし方:1算数は競争心を刺激しやすい教科、2英語は小学生でも大人以上の実力が可能、3お金の教育を実践して人生設計につなげる。
- 小学生で英検準1級を取得。英会話では受験や英語の資格試験を突破できる英語力は身につかない。「英語多読」が最短で最高の方法。
- リーダーズと呼ばれるレベル分けされた簡単な本からスタート。「英語の本を1冊読み切った」という成功体験を積み重ねることができる。(簡単なリーダーズは16ページ程度で5分以内で1冊読める)
- 単語や文法の難易度が細かくレベル分けされているので「自分の今の英語力が可視化」でき、モチベーション維持しやすい。
- お金の教育は5歳からスタートしよう。本格的にお金や経済(お金とモノの流通、需要と供給の関係など)について教えましょう。
- お小遣いをお手伝い制にすれば、お金の重みと交渉力が身につく。欲しいものを衝動的に買うのではなく、賢い選択をする練習。計画性をもってお金を貯蓄し、消費する習慣をつける。1000円以内で好きなものを選んでいいよ、と予算を決めて自由に組み合わせを選ばせる。
- ボードゲームで遊ぶだけで金銭感覚が身につく。
- ②⑥商人気質の子どもの習い事の選び方:1ガチ競争スポーツに参加させる、2ストイックタイプの子には楽器がおすすめ。
(第8章・パフォーマー気質は「行動力」で伸びる!)
- ②⑧本気で打ち込める「何か」を見つけよう:1多様な活動で「本気で打ち込める何か」を見つける、2集団スポーツに参加させて「非認知能力」を鍛える。
- 家の中に押し込めずに、外に出て遊ぶ機会を多く作ってあげて。与えるだけ与えた分だけ食いついてくれる。その中でどんな分野で一番行動力を発揮するか見極め。
- 集団スポーツに参加させて非認知能力を高めてあげるのが手っ取り早い。勉強3:習い事7くらいのバランスで、課外活動に取り組む時間を多く作ってあげて。
- ②⑨パフォーマー気質の子どもの「学力」の伸ばし方:1課外活動で好奇心を刺激する、2家庭で討論する機会を増やし言語表現力を伸ばす、3異文化体験をさせ英語(外国語)に関心を持たせる。
- 家庭内のディベート、オープンエンドの質問。YES、NOで答えられない問い。正しい答えがなく、ユニークな思考が求められる。ポイントは楽しい話、ポジティブな話を振ること。
- 答えのない質問は子どもにユニークな発想を鍛えると同時に、自分の好き嫌いや価値観を発見するきっかけになる。
- ホストファミリーになれば自然と国際感覚が磨かれる。
- ③⓪パフォーマー気質の子どもの「習い事」の選び方:1集団スポーツから1つ選ぶ、2ダンスやミュージカルなど表現系の集団活動を紹介する、3子どもによっては落語、漫才、コントなど話芸にハマるかも。
(第9章・共感者気質は「コミュ力」で伸びる)
- ③②コミュニケーション力は3つのポイントで伸びる:1雑談で家族のコミュニケーションを増やす、2自分らしさを家庭で確立させる、3大人の会話に子どもを交ぜる。
- 社会に出た時、一番強く求められるスキルはコミュニケーション力。親が子どもの手本になって。相手の目を見て笑顔であいさつする、など。
- 3つのルール:1笑顔であいさつする、2相手の目を見て話す、3相手の話をしっかり聞く
- 自分らしさを家庭で育てる3つの方法:1小さな選択をさせYES、NOを明確にさせる、2選択の際には論理的に理由を考えさせる、3自分の本心と向き合って選択をさせる。
- 子どもを一人前扱いしてあげると自立心に火がつく。
- 共感者気質の子どもの学力の伸ばし方:1本の読み聞かせで地頭、国語力を鍛える、2読み書き教育で9歳の壁を乗り越える、3英語(外国語)に関心を持たせる。
- 子どもが小学四年生になると勉強についていきえなくなる小4の壁、9歳の壁。その原因は読み書き教育の欠如。
- 簡単で短い本の多読で読む力が育つ。毎日10分読むを日課に。1冊読み切った!という成功体験を。
- 「もしもクイズ」で書く力が育つ。おすすめは「もし〜だったら」。どこでもドアがあったらどこに行く?など。
(あとがき)
- 強み育てのゴールは英才教育を施してその道のプロにすることではない。「成功体験」と「失敗体験」を通して子どもの「自信」と「メンタルタフネス」を強固にすることが目的。
- 現代のグローバル競争社会を生きる子どもたちは激しい競争とストレスから逃れられない。社会に羽ばたく前に強い心の土台を作ること。
- 5つの気質は誰にでもまんべんなく備わっているもの。その強弱の組み合わせが違うだけ。
- 親が子どもの強みを見極め、興味や関心を持っていることをサポートし、個性を尊重して接してあげて。
- この世に「強み」のない子などただの一人もいない。大切なのは親が強みの芽に水と栄養を与えて、大きく伸ばしてあげること。