どんな本
私たちの生きる社会はとても複雑で困難。中学生のみなさんには、ふと感じる素朴な疑問を大切にしてほしい。そうすれば社会の見え方が違ってくるかも知れません。
感想
新書コーナーのおすすめ本から手に取った一冊。現代の教育システムに順応できない子供達の受け皿として活動されている組織・団体の実情や声は、積極的に学んでいきたい。あとがきの著者メッセージは胸に響いた。
表紙
要約・メモ
(第1章 学校が苦しいのはなぜ?)
- 決まりごと、人間関係、男女の決めつけ。
(第2章 子どもの権利ってどんなもの?)
- 生きる権利、守られる権利、参加する権利。
(第3章 家が苦しいのはなぜ?)
- 苦しいのには理由がある、愛を持ち出してくる大人には注意。
(第4章 私が苦しいのはなぜ?)
- 自分が嫌いだとしたら、それはまわりのせいかも。「すべき」より「したい」を大事にして。
(おわりに)
- もしかしたら「子どもに良いことをしたい」と願う大人の方もこの本を読んでくださっているかも知れません。そう願うのは素晴らしいことですが、いくら良いことをしても、その分害があることをしてしまうと意味がありません。私たち大人は子どもを傷つける地雷を簡単に踏んでしまいます。良いことをするのではなく、害になることをしない。この「しない」がまずは必要です。
- 容姿や体型についてコメントしない。
- 女の子だから、男の子だからと性別で役割を決めつけない。
- 不必要に無断で身体に触れない。
- 趣味や予定を押し付けない。
- 秘密を持つことを禁じない。
- 苦労話やがまん話をしない。
- 取り引きしない(◯◯したいなら△△しなさい、など)。
- 約束を破らない。
- イライラを態度に出さない。
- 話を聞く前に決めつけて叱らない。
- でないと子どもたちにとって「敵ではない大人」にはなれませんし、そのプロセスをすっ飛ばして子どもの味方や理解者になれるはずがありません。
- 子どもの自死が深刻です。2022年の自死件数は過去最多。その原因を「コロナ禍のせい」と分析する人たちがいるが果たしてそうか。世の中の仕組みの脆弱性(もろさ)に原因があるのではないか。
- 困っている時に自分から助けを求めないと支援を受けられず、さまざまな困難が自己責任にされ、暴力から逃げられる場所が少ない。子どもたちの声を聞かない。そんな世の中では、感染症であれ災害であれ危機に耐えられるはずがなく、子どもたちを守ることはできない。
- 「コロナのせい」と「思春期のせい」は似ている。どちらも世の中の仕組み(環境や構造)にしんどさの原因があるのに、わかりやすい理由を持ち出すことで仕組みの側にある問題が見えづらくなってしまう。
- 世の中の仕組みは、人の手によってしか変えることができない。コロナ禍のせい、思春期にせいでは、私たちが仕組みを変える機会を逃してしまう。きちんと世の中のせいにしましょう。