どんな本
NPO法人あなたのいばしょ理事長・大空幸星氏による愛のメッセージ。あなたのいばしょは、必ずある。
感想
新書コーナーにてふと出会った本書。すべての子どもたちの学び・居場所の確保をうたう学校教育、それに反して多数の不登校児童や自殺者を抱える現代社会。そのギャップへの理解を児童相談センター現場の視点から深めさせてくれた本書に感謝と敬意を表したい。
表紙
要約・メモ
(はじめに)
- 生きていれば、必ず苦しい状況から抜けられる。
- 孤独は恥ずかしいことじゃない。
- 心が悲鳴をあげたら、迷わず誰かに頼っていい。
(第1章)
- 小学校1年の頃、両親の喧嘩別れ、父との確執、暴力。不登校、拒食症と入院、自殺未遂。母と東京生活、母は常に不在。ラジオと尾崎 豊が救い。高校入学、ニュージーランドへ。普通の幸せを味わった留学時代。母の看病とバイトと学校、精神的な限界へ。F先生への手紙、仕事を休んですぐに駆けつけてくれた信頼できる大人。
- F先生がいなかったら僕は生きていないし進学もしていない。
- 過去を悲観するより、どう生きたいのかを考える。
- 理不尽な社会の仕組みを変えたい、1人親家庭は経済的に厳しく、子供が頼れる人の数が圧倒的に少ない。
- 睡眠時間を削るバイトをしながら猛勉強。慶應義塾大学進学、「NPOあなたの居場所」設立。
(第2章)
- 孤独はどんな状況でも起こりうる、誰でも何歳でも。
- 積極的な孤独と、望まない孤独、の2種類がある。望まない孤独をなくしたい。
- 昔から人は協力し、つながり合って生きてきた。
- 知らない相手だから相談できることもある。
- 心理学で誰かに頼ろうとする力を「援助希求能力」という。誰もが頼る力を持っている。誰かに頼るのは、怪我で病院に行くのと同じこと。
- 自分なりのペースとやり方で、頼れる人との出会いを求め、悩んだら誰かに頼ると言う選択をしながら、これからの人生を進んでいってもらえたら嬉しい。
(第3章)
- 進路や受験の不安を乗り越えるには。希望する進路が親に意見と合わず悩んでいると言う相談が多い。「自分に自信をつけること」結果ではなくプロセスに対して自信を持つことが重要。
- 自分で自分の行動を認めていく習慣が身に付くと、結果や人の評価に左右されず、納得感を持って進んでいける。
- 恋愛問題で悩んだらこう考えよう。前提として忘れてはならないこと、自分の人生の主体者は自分自身であると言うこと。自分が主役であり主人公と言う意味。相手の人生も同じ。
- 失恋の痛みから立ち直るには。自分の価値は人ではなく自分自身が決めるのだと言う事を思い出して。
- 自分を好きになれない時は、比較を止めてみよう。理想に近づくためには、人と競い合うのではなく「過去の自分」と競い合うのも大切。
- 悩みを苦しみに変えないこと、事実と妄想を切り分けよう。1番の問題を突き止めること。
- インターネットやSNSとの付き合い方を学ぼう。あなたを傷つけるような言葉が届いても、あくまで相手の見方、1つの意見。あなた自身の存在意義が揺らぐわけではありません。
- 睡眠時間の確保はマスト。精神状態の悪化を避けて。
- 苦しみの出口を自分で作る。苦しみがずっと続く事は無い、辛い時間は必ず終わる。
(第4章)
- 孤独を感じる人が増えている。責任は全て自分にあると考えるのは間違い。
- 今問題になっているヤングケアラーの構造、親の代わりに家族の世話を指定したりしている18歳未満の子供を指す。本来、そういった状況の家庭は公共機関や周囲の人などにサポートされるべき。家族の介護のために子供の夢や学校生活が妨げられることがあってはならない。
- 自己責任とは、自分の責任で自分の人生を歩いていくこと、誰かに手を差し伸べる行為を行っていくこと。本来の意味はポジティブなもの。
- 自分の長所の見つけ方、どんなことでも夢中になれること。他人と自分を比べると苦しくなってしまう。短所は意識しなくて良い。
- 「生きる意味」見つけなくていい。人は生きる意味があると思えれば、自分の感じている苦しみに意味生み出せる、つまり、苦しみを正当化できる。日々起きることを味わうのが生きる意味。
- 夢は必ずしも必要ではない。自分の人生を生きられるのは自分自身のみ。あなたが今経験している事はあなたにだけある。
- やりたいことが見つからなくても焦らなくて良い。誰かの役に立てる事は素晴らしい事。特別な技術はなくても人を助けられる。
- たった一言の声かけで救われることがある。本気の他人事で考えよう。①自分の心を第一に考え余裕がある状態で手を差し伸べること。②決してたい気持ちで向き合わない。本気の心構えで。
- ゆるいつながりを作っていこう。お互いの負担にならない適切な距離感で。そんな関係を作るためには雑談が重要な役割。
- 座右の銘「大丈夫、なるようになる」。人生はなるようにしかなりません。英語でLet It Be。
- 僕たちにはみんな「生きる権利」があると言うこと。当たり前と思うかもしれないが、生きているとその権利が使えないほど苦しくなることがあります。
- 生きる権利、生きる意味とは、今と言う時間をどう過ごすかを自分自身で選び、味わいながら生きること。その生きる権利を行使し、生きていくことそのものが人生の目的です。
- しんどい時は「しんどい」と言っていいのです。それも生きる権利を行使することです。あなたがこれから、自分の人生でやりたいことをやり、孤独なときには誰かとつながりながら主人公として生きていくことを、僕は心から応援しています。