今月号がとどきました。いつもありがとうございます。
新春特集:日本の将来を語る
渋沢栄一の考える未来は?(農学博士・渋沢寿一氏)
- 今年の夏から一万円札の肖像が渋沢栄一(1840〜1931)に。
- 生涯500社以上の株式会社設立、600以上の社会福祉法人や大学の設立に関係。資本主義の父。
- 栄一を育んだ江戸時代、利用できるエネルギーや食糧に制限。労働生産性より資源生産性に重き。自然共生型の循環社会。
- エコロジカルフットプリント、地球上の一年間の自然の成長量を、人類がどの位使用したかを表す数値。0.5→現在1.8。地球1.8個分。
- SDGsの最終年である2030年に向けた行動計画、地球を救う最後の機会。
- 有限な地球と無限な人類の欲望。人類全体の課題が人類と地球の共存に他ならない。
- 資源生産性の視点こそが未来への道筋なのかも知れない。
人道援助でリーダーシップを発揮「限りある命」を社会のために役立てる教育を(国境なき医師団日本事務局長・村田慎ニ郎氏)
- 国境なき医師団、活動資金9割以上が民間からの寄付、独立・中立・公平の3原則の下、特定の政府やイデオロギーの影響受けず70超の国・地域で活動。
- シリアでの活動時、戦闘員と一般市民が区別されずに攻撃、無力感でいっぱいに。これ以上無駄、もう辞めよう。ある男性患者「そんなことを言わないでほしい。あなたたちは私たちの希望なんだ」
- 日本には国際社会の中でもっとリーダーシップを発揮してほしい。無差別攻撃の停止や医療の保護などが進よう働きかけ強めて。
- 命ほど大事なものはない、活動を通じて実感。日本に生まれ育ったというだけで圧倒的に恵まれた存在。
- 個人の幸せや成功にとどまらず、社会のためにできることを考え、命を大きく使う人を育てていきたい。「確率ではなく、可能性にかける」生き方を期待。
視点を変えて、面白がる気持ちを大切に(経営者・公務員・芸術家・尾崎えり子氏)
- 「挑戦しよう」と子供たちに言うために。周囲に挑戦している大人がいない状態で子供たちはどうやってチャレンジを学ぶのか。先生も校長も親も地域の人もぜひたくさん失敗してほしい。失敗はマイナスではなく、一歩前に進こと。
- 恥ずかしさを乗り越える方法。失敗は恥ずかしい。周囲の目があるから。①エジソンが今の失敗を絶賛。どこがよかった?の大喜利、②今の失敗を講演会で話すとしたらどんなエピソードトークをする?、③失敗してしまう原因を強みに変えるとすると?の視点。
- 新しいことってどうやって作るか。新しいこと=既存のこと×既存のこと。
- これからの時代、面白がる力が大切。正解がない時代、試行錯誤を楽しみ、立ちはだかる壁をゲームのように面白がって。
- 面白がるとは自己決定し、主体的に動くということ。そのためには、子どもも大人も時間的、精神的、物理的余白が必要。
- 多様性が尊重される社会に出る子どもたちが学ぶ場は、多様な人がいる方が良い。
皆さんの夢は何でしょうか(俳優・タレント・小西博之氏)
- 教師になる夢を追いかけてきたが、教員採用試験が中止に。バイトをしながらNHKのオーディションを受け合格。鉄ちゃん番組に受かり芸能界入り。
- 45歳で末期の腎臓がんに、その後ウルトラマンの隊長に。全国をまわり命の講演会。
- 今の夢は、師匠萩本がやっていた「もうひとつの甲子園」をやること。
- 保護者の方に。「今までこの子のためにと一生懸命でしたね。何とか私にできることを頑張って来ましたね。良くわかります。今まで、何も間違っていませんでしたよ。でも、今日は、この言葉をお子様に言ってあげてください。『私はね、今のあなたが大好きだよ』と。」
- 保護者の方々のたくさんの涙を見て来ました。私も一緒に泣きます。ここから、ここから。ありがとうございました。
今度こそ「児童の世紀」を迎えたい(国立教育政策研究所名誉所員・小松郁夫氏)
- 2023年の教育界、明るいニュースが多かったとは言えない。解決を迫られている課題が山積、笑顔が少なかった一年。
- コロナが5類に移行し、以前の活気が戻りつつあるが、働き方改革の成果が見えず、若者の教職の魅力低下は危険水域に。
- 児童虐待や少子化など子どもにまつわる課題はまったなし、早急に途切れない政策支援、社会基盤の整備が求められる。
- 不登校といわれる状況も、個々の事例の内実は複雑多様で、一概に分析や考察はできない。学校という近代社会が生み出した「優れた」教育システムが、ある「完成形」のような段階で、行き詰まりを呈しているとも考えられる。
- 一人ひとりの子どもにとって「最善の利益」保障に、学校という形態がベストな手法なのかに関して、新しい学校論の展開が求められている。「組織的教育」や「計画的教育」、さらには「義務教育」について私たちは、その根本について再考が求められていると自覚すべき。
自己肯定感を育てる(ライフコーチ・三橋亜希子氏)
- ライフコーチングでは、対話を通して自分の思い込みに気付いたり、大切にしたい信念に気付いたりすることで、人から言われたことをそのままではなく、「自分の責任」で自分の人生を選択していくことを手助けする。その選択をした自分を信じるということも大切なポイント。
- 自己肯定感を育てる前に、自己否定や自己否定をしてしまう自分をなくすことも大切。
- 自転車に乗る練習をしている時に、誰しも転んだりする経験ある。それを失敗とは言わない。転ぶ経験があるからいずれ乗れるようになる。全て意味がある。人生はドライブのようなもの、時にはすごく遠回りをしてたくさんの景色や人に出会えたととらえる。
- 本当の自己肯定感を育てるには、肯定する前に否定をやめることが必要。私たち大人が彼らを否定せず、ただただ存在を承認していくこと。自分自身も。
- コーチングのスキルを学ぶだけでなく、その考え方や在り方、子供の可能性を引き出す「問いかけ」について、保護者や先生方も理解が深まることで、子どもにとっても相乗的な効果が期待できる。
29万人時代の不登校について考える(教育コンサルタント・田畑栄一氏)
- 「自殺・不登校・いじめを生まない笑顔溢れる学校づくり」を基本理念に、「学校が居心地良ければ子供はやってくる」の極シンプルな一言。
- ①ケース会議を開き、方向性を決定
- ②保護者と面談を行い、信頼関係づくりや対策方針の共有化
- ③可能なら本人の意向も聴取
- ④午前中は授業のない担外チームで家庭訪問や一緒に寄り添う活動を実施
- ⑤担任は余裕のある放課後の時間帯に対応
- ⑥学校ではいたい場所(校長室、職員室、保健室等)の選択を承認
- ⑦本人の自己選択・自己決定の優先
- ほか、子どもの特性に応じた柔軟な対応を準備しておく。
- この基本ラインに沿って進め、5年生の1年間ほとんど教室に行かなかったAさんが6年生の4月から教室で学ように。保護者との協力体制が組めたこと、Aさんに「愛情エネルギー」を注ぎ込んだこと、自己選択・自己決定を貫いたことが教室復帰の要因と捉えている。教室内の刺激に耐えられる意欲と力が溜まった時、子どもは動き始める。
- 不登校の要因は何か。社会、家庭、個人的資質、学校システム上の課題等様々にある。しれでも、学校が子どもたちに寄り添い、居心地の良い場所なら、この数は減少していく。学校がやれることはまだまだあると思う。