どんな本
「いらっしゃいませ!」私はさっきと同じトーンで声をはりあげて会釈をし、かごを受け取った。そのとき、私は初めて世界の部品になることができたのだった。私は今、生まれたと思った。「普通」とは何か?を問う衝撃作。
感想
物語冒頭のコンビニで働く主人公・古倉恵子とコンビニという小さな箱の描写がとにかく秀逸で、圧倒的な魅力で本書の世界感に惹き込まれること必至。毎日何気なく訪れているコンビニが、より好きで好きでたまらなくなる、新感覚でユーモアに富んだ一冊。
表紙
要約・メモ
(本文より)
「いらっしゃいませ、おはようございます」
朝という時間が、この小さな光の箱の中で、正常に動いているのを感じる。
指紋がないように磨かれたガラスの外では、忙しく歩く人たちの姿が見える。
一日の始まり。
世界が目を覚まし、世の中の歯車が回転し始める時間。
その歯車の一つになって廻り続けている自分。
私は世界の部品になって、この朝という時間の中で回転し続けている。