まちづくり・社会教育活動の実践あれこれ

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読了「超約版 戦争論」クラウゼヴィッツ

どんな本

「争いの本質」を知り優位に立て!「孫子」と並ぶ世界的戦略書の要諦。この「戦争論」という古典を読まずして現代に生きるのは、もはや国際人として責任放棄である。

 

感想

戦争の本質は単純なケンカ。ケンカに勝つための戦略・戦術・精神性などが延々と著されている。国に領土領域がある限り、この世から戦争が絶えることはない。戦うことを恐れず、それぞれにとってのより良い平和を目指していきたいと改めてここに誓う。

 

表紙

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目次

  • はじめに
  • 第1章 戦争とは何か
  • 第2章 戦術と戦略
  • 第3章 防御と攻撃
  • 第4章 勝利に必要な戦闘力
  • 第5章 部下を率いる資質
  • 第6章 歴史に学ぶ勝利の本質

 

要約・メモ

(第1章)

  • 戦争の本質は単純な喧嘩。間違いなく暴力的な行動であり、その目的は、敵対する相手を、こちらの意思に従わせることに他ならない。この残酷な問題から消して目を背けてはならない
  • 戦争は、目的を達成するための、厳格な手段。気まぐれで行われるものであってはならない。指揮するも者の、知性による選択にかかってくる。
  • あらゆる戦争は政治行動。他の目的で行われる交渉と同様、戦争とは手段、それを行使する人間が胸に抱く目的を含んだもの。
  • 戦争を終わらす上で目指すべき手順:①敵の戦闘力を撃滅⇒②敵の領地を奪う⇒③敵の意志を挫けさせた上で敵国と同盟国と講和を結ぶ。あくまで概念であり現実の戦争とは一致しない。
  • 戦争における勝利の効果:①軍や戦争を指揮した指揮官に及ぼす効果、②戦争に関わった国家に及ぼす効果、③1と2の結果によって、戦後の世界にもたらされていく効果。
  • 戦闘の結果がもたらす精神的な効果は、勝者よりも敗者に作用する方が大きい。
  • 宮本武蔵)どんなことにおいても人に勝つと言うことが根本。勝って得られるものよりも、負けて失うものの方が大きい。
  • 防御する側は、常に有利な条件を活用できる。勝利要因①不意をついた奇襲②地形的優位性③多方面からの攻撃。いずれも防御者が優位。
  • もし、政治が強大化し力を増したとすれば、戦争もまた同じように強大化する。そこに現れるのはむき出しになった本来の完全なる野蛮形態。

(第2章)

  • 戦術(タクティクス)は「戦闘において軍を活用するための理論」、戦略(ストラテジー)は「戦争の目的を遂行するために戦闘を活用する理論」と定義。
  • 戦略には勝利というものがない。戦略における成功は勝利を最大限に活用すること。
  • たった1回の戦闘で決まる戦争はない。しかし現代には核兵器がある。シミュレーションでは核兵器一発に対し各国が報復すると4時間後に9,000万人以上の死者。
  • 「物理的な戦闘力の損失」よりも「精神的な戦闘力の損失」の方が大きいプロイセンオーストリアに勝利したゾーアの戦い、戦力的には不利だったが悟られず講和にこぎつけた。
  • 食料などの補給と言う問題は、近代の戦争においてはるかに重要度増した。その要因2つ、①現代の軍隊は、古代に比べてはるかに強大なものになった。②軍事行動が過去に比べてはるかに連携して行動するようになった。軍は完全に政府が使用する「道具」となり、各兵員への補給は完全に政府の仕事になった
  • 敵の背後をつくことを1つの功績とみなすのは完全に誤り。その行動は、他の行動と連動しなければ効果もたらさない。①連絡線を脅かす、②攻撃者の退路を断つ。
  • 民衆の力は戦況を左右する戦力。現在のテロの時代になり、戦争は国家を超えた民衆の集団が引き起こすものに変わっている。
  • リーダーは常に相手を侮ってはならない。「敵は常にこちらの裏をかいてくる」有名な「孫子の兵法」でもそう説いている。

~中略~

(第5章)

  • 天賦の才能を勝因にしてはならない。「学んだ事は、実践で生かされて初めて意味がある(知行合一)」、武士たちが学んだ儒教である陽明学の考え方。
  • 15世紀、フランスを席巻していたイングランド軍は、わずか16歳の少女にことごとく打ち破られた。それがジャンヌダルク、彼女の強さは常識にとらわれないことにあった。
  • ロシアによるウクライナ侵攻時にはマリウポリの製鉄所で、民間人ともに立てこもった2000人以上のアゾフ大隊の攻防が注目された。戦略的にクラウゼヴィッツの推奨する防御戦の形通りだった。結果的にロシアの侵攻を遅らせ、国連が介入する時間を作った。
  • 戦争論によく登場するフリードリヒ王。1740〜1756年プロイセンを率い、統一前のドイツにおける最強の国に成長させた。これを可能にしたのは、勇気と決断力と強い意志を持っていたから。

(第6章)

  • かつてローマやモンゴル帝国の軍が強かったのは、その国民の中から立ち上がってきた戦士が戦っていたから。一方で、ヨーロッパ各国では、中世以降、軍は国王の私物となります。それをひっくり返したのが、革命期のフランスでした。クラウゼヴィッツは、そんな時代の変化に合わせて「戦争論」を執筆したのです。
  • ポーランドは、列強国の間に存在した地域で、絶えず戦争の火種となった場所。第二次世界大戦中もナチス支配下にあったの有名。しかし、平和の維持は難しいと言われたポーランドも、今は普通に安定した国として存在。人類は長い歴史を通じ、解決不可能と言われた問題を解決してきたことも忘れてはならない。
  • 戦争論」において、戦争の目的は敵を倒すことであり、基本はそのためには手段を選ばないと言う立場をとっている。準備前に敵を急襲するこの方法もその一つ。ただ、それによって味方からの信頼をなくしたり、敵の復讐心を高めてしまうのでは意味がない。
  • 戦争の目的は、その概念からすれば的の完全な打倒である。では「敵の完全な打倒」とは一体どういう状態なのだろうか。
  • 小さな事柄は大きな事柄に依存し、重要でないものは重要なものに依存する。また、偶然に起こる事は、結局のところ、本質的に動いている世の中の流れに依存している。だから、私たちは常に戦争を広い視野で捉え、原則に従ってここの問題を解釈する必要がある。
  • 勝敗は結局のところ世の法則性に従っているのだ。その原理こそ私たちを導く指針となるのだ。
  • 何が勝敗を決めるのか?例えば、強大な国が弱小な国を征服する。クラウゼヴィッツの時代では、それで勝利とは言えなかった。
  • 現在は世界がグローバルにつながっている。世界の一人一人がそれを「勝利」とみなさないことで、われわれは、強大な勢力に屈することなく、いつまでも戦い続けることができるのです

(まとめ)

  • なぜ人類はいつまでも戦争を繰り返すのか?世界のどこかで戦争が起こるたびそんな疑問を抱かずにはいられない。一体戦争は何のためにやるのか。
  • 戦争は、政治的な目的を達成するための手段であり、実行する以上、その目標は常に相手が屈服するまで叩きのめすことにある」19世紀にそう定義したのが本書「戦争論」の著者プロイセンの軍人クラウゼウィッツ。以降、戦争を理解するための必読書に。
  • 世界で起こる戦争を理解し、自分がそれに対してどのような態度を取るかを決める、良い機会にして。