どんな本
体力の衰えを自覚し、没頭できる趣味や気の合う仲間との出会いを経て、いかにして世界を肯定できるようになったか。人見知り芸人の集大成エッセイ。
感想
自分の内面に、これほどまで深く向き合えると言うのは、特技や性格というより、もはや1つの才能と言わざるを得ない。自分に素直に生きるということの素晴らしさ、人生の奥深さを学ぶことが出来る珠玉の一冊。
表紙
要約・メモ
- 自分の正直な意見は使うあてのないコンドームのように財布にそっと忍ばせて店を出た。いつか、それを使う日まで。僕は強者に対して物分かりの良いふりをし続けるつもりだ。それを使うタイミングを、僕が間違えるはずがない。
- 野心や欲望は、衝動だから、自然に湧き上がってくるものであって、持て!と言われて持てるものではない。
- 読者モデルの彼は、美貌やファッションを希望にしていたのではないだろうか。僕は彼のサバイバル術を否定できない。将来、自分の会社を立ち上げて、それを希望にするだろうからだ。
- 今の僕はファンタジーを選ぶ。使命と言うファンタジーを作り出し、それを自分に信じ込ませる。真実は、あまりにも残酷で、あまりにも美しくて、まともに向き合うと疲れてしまうから。
- 2009年の僕は、ライブ会場のトイレにこもって、YouTubeでシドヴィシャスがMy Wayを歌う映像を見ていた。シドヴィシャスが舞台をはけるときに、客席に中指を立てる。あの映像だ。「客の評価など関係ない。自分のやりたいことをやる」
- 明るくて前向きな人間は、暗くて後ろ向きな人間を無視してぐんぐん進む。一瞥(いちべつ)もしない。最近生まれて初めて考え過ぎな人間に「考え過ぎだよ」と思った。なんて残酷な感情なんだ。
- スマホに死んだ親父の画像を映し出し「ねえ親父」と話しかける。
- 自分の気持ちを素直に言えるようになるための第一歩は「自分に自信を持つ」みたいな絵空事ではない。自分が臆病なのを認めることだ。それを大いに笑ってもらうことだ。
- 力を抜いて、欲を捨て、結果を意識せず、今ここに集中する。まるで、禅のようだ。
- 3年間の授業で「しくじり」を回避する一番の方法は何だと思ったかというと、「耳が痛いことを言ってくれる信頼できる人を持つこと」である。
- 正論は多分正しい。でもおもしろくはない。「共感できないけど一理あるかも」って脳がパッカーンてなるあの瞬間が好きなのにな。
- 人間は内ではなく外に向かって生きた方が良いということを全身で理解できた。外に大事なものを作った方が人生はイージーだということだ。
- 他人の目を気にする人は「おとなしくて奥手な人」では絶対にない。心の中で他人をバカにしまくっている、正真正銘のクソ野郎なのである。