まちづくり・社会教育活動の実践あれこれ

日々への感謝とアウトプット

読了「センスは知識からはじまる」水野学

どんな本

センスの良さとはミステリアスなものでもないし、特別な人だけに備わった才能でもない。方法を知って、やるべきことをやり、必要な時間をかければ、誰にでも手に入るもの。

 

感想

自分なりに多少のセンスは持ち合わせていると自負するが、それはあくまで知識を持った分野に限られていることを認識させられた。「自分にはセンスがない」と言い訳する方々にはぜひ読んでいただきたい、目から鱗な一冊。

 

表紙

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要約・メモ

  • センス問題は根深い。斬新なアウトプットにはセンスをもって閃かなければいけないという誤解。
  • 尖っている企画と売れる企画は、必ずしもイコールではない。
  • 誰もがセンスは等しく持っており、それをどう育てているか、どう使っているか、どう磨いているか。

(第1章)

  • 「センスの良さ」とは、数値化できない事象の良し悪しを判断し、最適化する能力である。
  • まず普通を知ることが必要である。それが唯一の基準となる道具。
  • 子供は自由にセンスを発揮している。大人になるにつれ、逆の方向へ。よほど才能があるものでない限り、絵が好き歌が好きといつまでも言ってはいけない風潮。
  • 大人になっていく過程で起こる、芸術との決別。受験科目でないと言うだけで趣味のもの。
  • 学問としての美術。1つは学科、2つは実技。
  • 美術とは、知識を学んだ上で、自分が何かを作ったり、生み出したり表現したりする、礎を作る授業であるべき。

(第2章)

  • 企業の価値を最大化する方法の1つにセンスと言うものが挙げられる。それどころか、その会社が存続するか否かも決める。
  • 日本は、もともと千利休のように、江戸時代までは研ぎ澄まされた独自の美意識、センスの国。
  • 人間は、技術がその時点の限界まで進歩すると、ノスタルジックな思いに身を寄せ、美しいものを求める傾向がある。
  • 美しいと言う感情は、基本的に未来ではなく、過去に根差している。ノスタルジーや懐かしさもフックになるに違いない。技術とセンス、機能と装飾、未来と過去。ついになっている時代の間をみんなが行ったり来たりしている。
  • 新しいものが広がるには時間がかかる。
  • 日本企業の製品にセンスがない理由:市場調査を中心としたマーケティング依存。やってみてもいい唯一の市場調査は、どの商品がいいか1秒で選ぶと言うやり方。
  • 日本企業に必要なのはクリエイティブディレクター。誰にでもなれる可能性。失敗を恐れず、縦割り構造の会社組織に横口をさせる人こそ、クリエイティブディレクター。
  • 市場調査が危険な理由①何がいいと思い、何が作りたいのか自分の頭で考えなくなる。②市場調査で決めたとなると責任の所在が曖昧になる。
  • 企業の美意識やセンスが企業価値になる。これが今の時代の特徴。

(第3章)

  • センスとは、知識の集積である。これが僕の考え。知識と言うのは紙のようなもので、センスとは絵のようなもの。紙が大きければ大きいほど、そこに描かれる絵は、自由でおおらかなものになる可能性が高い。
  • ひらめきを待たずに知識を蓄える。手初めに「誰でも見たことのあるもの」と言う知識を蓄える。過去に存在していたあらゆるものを知識として書いておく事は、新たに売れるものを生み出すには必要不可欠。
  • 過去へのリスペクトも忘れないことが大切。
  • 客観情報の集積がその人のセンスを決定する。センスに自信がない人は、自分が実はいかに情報集めていないか、自分が持っている客観情報がいかに少ないとまず自覚しましょう。

(第4章)

  • 効率よく知識を増やす3つのコツ:①王道から解いていく②今流行しているものを知る、③共通項、一定のルールじゃないかを考えてみる。
  • あなたが、もしチョコレートの商品開発担当者になったら?をシミュレーション。
  • ①王道のチョコレートに関する知識をひもとく。②流行のチョコレート知る。③そこに共通項はないか探る。④疑問から仮説を導き出す。⑤仮説を検証し、結論に結びつける。
  • このプロセスである程度のラインまでいける。ここから先は精度。
  • 感覚的にこれがいいと思う」は禁句。漠然とした表現もダメ。
  • 知識のクオリティーが精度の高いアウトプットを作り出す。現代は「精度の時代」。
  • iPhone3Gの背面ボディーの美しさ。デザインは、細部に宿る。ブランドは細部に宿る。
  • ヘルベチカと言う書体。これでイタリアの会社のロゴを使ったらおかしい。スイスとアメリカ人のデザイナーが生み出したから。
  • 知識を重ねあわせて作っていくと正しい答えにたどり着ける。これが僕に言える「誰もが身に付けられる売れるものづくりのヒント」。

(第5章)

  • 現代社会においてセンスとはマナー。研鑽によって身につく。仕事のセンスは、日々自ら磨いていくもの。
  • 企画書は、消費者に知識、物語、価値を知らせる手紙。相手の目線で考える。
  • センスを磨く上で好き嫌いでものを見るのは禁物。好き嫌いとは客観情報と対極にある。
  • 自分の得意分野を生かして、常に自分の土俵へ。どんな課題が出て全部ビートルズに結びつける人。
  • 書店は、素晴らしい知識の泉。センスの源となる知識に溢れている場所。10,000冊の書店、10,000人の考え方。
  • 3歳までの記憶がないのは、日常が驚きに満ちているから。
  • 知識を吸収し、自分のものとしていくには感受性と好奇心が必要。ときには、むき出しの子供になって。何も知らない。何もかも知りたくてたまらない。

(あとがき)

  • センスは、すでにあなたの中にある。
  • ガラパゴスで生きている自分を自覚して、そこから脱出して。
  • 餅は餅屋、と言われても気にせず挑戦。