まちづくり・社会教育活動の実践あれこれ

日々への感謝とアウトプット

読了「おいしい地方議員」伊藤大輔

どんな本

写真家で現役市議会議員の著者が、職業選択のひとつとして地方議員という仕事を知ってもらい、そのハードルの低さを伝えるべく書かれた一冊。「準備1ヶ月、自腹費用12万円、1617票で当選」、「兼業OK、公務はたった38日、報酬は762万円」地方政治はブルーオーシャンだ!

 

感想

地方議員は誰もがなれる身近な職業なのだと著者は説く。コネなし地盤なしから如何にして市議会議員へ当選したのか、そのノウハウの紹介、今の政治の問題点と改善策の提案、著者の提唱する「リスペクト運動」の仲間作りを呼びかける内容でまとめられている。令和時代の地方議員のあるべき姿を考えさせてくれる良著であった。

 

表紙

おいしい地方議員 ローカルから日本を変える! | 伊藤 大輔 |本 | 通販 | Amazon

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目次

  • はじめに
  • 1.条件・待遇
  • 2.立候補
  • 3.選挙
  • 4.シルバー民主主義
  • 5.議員の仕事
  • 6.リスペクト運動
  • 7.ビジョン
  • 対談 田村淳×伊藤大輔 地方議員に必要な力とは
  • おわりに

 

要約・メモ

  • 常勤の国会議員は「給与」、非常勤の地方議員は「報酬」の謎。月額支給かつボーナスあり。議員の失業リスクやなり手不足も関係。
  • アメリカ型:政策議論のできる少数プロフェッショナルで高額。イギリス型:平日夜や土日開催、多くの議員で議会開催、ほぼ無報酬。日本はその中間。
  • 選挙ポスターの作成ひとつにも「創造的破壊」が必要だ。あえてイメージっぽい写真を使用。
  • 企業やある特定の組織から支援または寄付を受ければ彼らが議員をコントロールする。逆に市民に支えられれば市民が議員をコントロールする。この差は実際に議員になってみるとよくわかる。
  • バンクシーの作品「退化した議会」が今の英国議会の議員たちに酷似。
  • ブラジルのサッカーが強いのは観客がプレーに目を光らせているから。今の地方議会は無観客試合に慣れすぎた
  • 議員個人としての年間の「公務」はたったの38日である。
  • リスペクトの精神が今の政治には根本的に欠けている。自分の話を聞いてもらいたければ、まず相手の話を聞くこと。

地方から変えていくことのメリット

  1. 結果を出しやすい 秦野市議会議員選挙、競争倍率1.17倍。人生で受けてきたどの試験よりも低い倍率。完全なブルーオーシャン
  2. 無理なくはじめられる 供託金30万円。ポスター269箇所、10人いれば貼れる。無理なくはじめられるのが地方選挙。
  3. 本当のボトムアップが実現できる イタリアの五つ星運動、2人ではじめた政治運動が9年で国政権を取った。小さくはじめることが大事。

リスペクト運動の理念

  1. 自分たちの事は自分たちで決める 政治家が一般市民によってコントロールされる政治。
  2. 多選の禁止 替えられない人はいつまでも代えられない。議員の人気は1人3期(12年)まで。
  3. 議員報酬は格差を少なく 議員専業で生活していくことの難しさ。報酬格差を改めるべき。
  4. 政治活動はもっと普通に、淡々と!