まちづくり・社会教育活動の実践あれこれ

日々への感謝とアウトプット

読了「探偵の現場」岡田真弓

どんな本

奥深い探偵の世界における、プロのノウハウ・テクニックなど具体的な方法を掲載、張り込みや尾行、聞き込みのスキルも公開。探偵について理解を深め、もっと身近な存在として知ってもらうため、売り上げ日本一の探偵社が今明かす、調査の実態!証拠の9割は3日でつかめる!

 

感想

謎の多い探偵という職業について女性探偵会社社長が解説した一冊。その業務の本質は、人と人、社会と人間、愛と寛容につながると説く。思いがけないドラマとの遭遇、驚きの連続、ドロドロした男女関係、信じられないような修羅場、など探偵のリアルを赤裸々に紹介。まさに事実は小説より奇なり。

 

表紙

探偵の現場 (角川新書) | 岡田 真弓 |本 | 通販 | Amazon

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目次

  • はじめに
  • 第一章 不倫する人の末路
  • 第二章 不倫調査最前線
  • 第三章 探偵が集める不倫の証拠
  • 第四章 探偵の実状
  • 解説

 

要約・メモ

  • 開業して17年で約26万件の不倫調査の相談実績。
  • 不倫の末路を紹介。例:20年間怪しんできた不倫を疑い調査⇒愛人6人、隠し財産として二棟のマンション所有。
  • 2007年、探偵業法が改正、大幅に適正化・透明化。全国で5,738社(警察庁調べ)。
  • 依頼案件の70%が不倫・浮気調査。パートナーの不貞証拠を手に入れ、いざという時のために備えておきたいという動機。女性社会進出に伴い、その4割が男性。
  • 調査には忍耐と体力。三日間張り付き。電車や航空移動は勿論、海外へ飛ぶことも。
  • 浮気する夫婦の共通点=妻が小うるさい・夫が妻を細かく管理・実の親とやたら仲が良い・夫婦の会話がない・お互いに隠し事がある・レス
  • 多いのは経済的に余裕のある富裕層ではなく、ごく普通の平凡なサラリーマン。理由は社内で異性と親しくなれる環境が整いすぎている。
  • 難儀な不倫調査トップ3、③調査対象が双子、②同行の探偵が不倫、①警察官
  • 深い傷跡を残す不倫トップ3、③教師と保護者、②探偵がトラウマを負う、①不倫相手が身内
  • 探偵社への依頼、第1位不倫調査、第2位行方不明者捜索。捜索依頼を受けて開始した当日に、捜索対象者の17歳家出少女が自殺死体で発見という例も。近年増えているのが、ストーカー被害に怯える女性。
  • 現代社会において探偵業務は、世の中の裏側に潜む非日常の世界を観察し、人間の不条理な真実にアプローチすること。人々の営みに正解はなく、その人が選んだ生き方が幸せであれと願いサポートするのも探偵の大きな仕事であろうと信じている。
  • 辛い現場も苦労の多い追跡も涙でにじむ報告も、それらのすべてが人と人、社会と人間、愛と寛容につながっている。だからこそ悩み疲れた多くの依頼者に寄り添い、幸せになってもらって「ありがとう」と感謝されることで、大変だった業務の日々が価値あるものに変わる。

 

(小説家・鈴木光司氏による解説)

  • 仏教における人間の煩悩には「貪(とん)・瞋(しん)・痴(ち)」という三毒がある。「貪」は、際限なく欲望をむさぼり、「瞋」は、自らの感情のままに怒りや不満を爆発させ、「痴」は、物事を正しく見ず愚かな判断を下すこと。
  • 探偵たちの仕事は、人間の煩悩の集合体ともいえる、この三毒をつぶさに観察すること。人間の欲望の深さは貞子の呪いどころではない、複雑怪奇かつグロテスクなものほど真実なのだ。