どんな本
Jポップはいつ誕生したのか。Jポップ以前と以後でなにが変わったのか。日本のポピュラー音楽の歴史を、はっぴいえんどやYMO、小室哲哉、中田ヤスタカなど、時代の主人公ともいうべき音楽家の物語から解き明かす。
感想
この本がわずか千円ちょっとで読めることにただただ感謝。まるで一本のドキュメンタリー映画を見終えたかのような読後感。サブスク時代にどう自分の中に音楽を位置付けていくかというpヒントも。ありがとうニッポンの音楽。
表紙
要約・メモ
(第1章・70年代 はっぴいえんどの物語)
- 彼らの音楽は、単純な意味で洋楽的でもなければ、かといって日本的でもない、どこにもないようなサウンドになった。はっぴいえんどが描き出した音と言葉による「風景」は極めて人工的なものです。言うなればそれは、彼らが耳にしてきた膨大なレコードや、読んできた沢山の書物、見てきた数多の映画、等々のるつぼから突然変異的に生まれてきた「風景」だったのです。このことはすこぶる重要です。
(第2章・80年代 YMOの物語)
- YMOの振る舞い、そのアティチュードを一言でいうならば、期待に応えないということ。彼らは常に、こうなったからには次こうなるだろうという周囲やリスナーの予想や期待からズレた展開に向かいます。半分は戦略であり、もう半分は本能だと思います。そして何よりもおそろしいことは、にもかかわらずYMOは成功し続けてしまった、ということです。
(第3章・90年代 渋谷系と小室系の物語)
- 渋谷系とはマニアックな音楽愛好家の決して規模は大きくないが濃密なネットワークを、外側から名指したものだったと考えられる。日本の東京の渋谷という場所に、ある時間を掛けて形成された、音楽ファンにとってのユートピア。フリッパーズギターもこの渦の中から登場したのです。
- 二人とも発想や行動の仕方が極めてコンセプチュアルであるということ。次はこうやる、そのためにはどうすればいいのか、もっとも効果的かつ面白いやり方は何か、彼らは何につけ、こんな風に考え、考え抜きそしてそのように実行する。アイデアの実現とコンセプトの遂行。
(第4章・00年代 中田ヤスタカの物語)
- Capsuleは2001年にシングル「さくら」でデビュー。そのプロデュース作全てと同様、作詞・作曲・編曲・演奏・録音・ミックス・マスタリングに至る全プロセスを一人で行なっています。彼こそは「オールインワン型プロデューサー」の完成形と言える。
- ニッポンも音楽の登場人物たちは、「内=ここ」に在りながら「外=よそ」を夢見ようとするさまによって、明らかに繋がっている。彼らはある意味でひとつのメンタリティを持った同一人物のよう。しかし時代と共にその「外」との関係性のあり方を変えていった。いかざるを得なかった。
- 1969年に始まった「ニッポンの音楽」の物語は、2014年が終わりに差し掛かった今、とりあえずの結末を迎えようとしている。この物語が日本のポピュラー音楽の歴史と現在を考える上で、最も重要な物語の一つと考える。
(ボーナストラック・Jポップ再生の物語)
- サブスクリプションサービスの台頭
- サブスクの落とし穴
- サブスク時代のスター誕生
- 現代のセンスエリートたち
- センス型から学型へ
- 周縁化するリスナー型ミュージシャン
- 無敵の星野源
- KポップとSONY MUSIC
- エイベックスの新たな挑戦
- グローバリズムかローカリズムか
- ネタからマジへ
- 言語の壁を越える
- ネットが加速させたファンダム
- 災厄とファンベース
- 日本だから無理ではない