まちづくり・社会教育活動の実践あれこれ

日々への感謝とアウトプット

読了「眠れなくなるほど面白い社会心理学」亀田達也

どんな本

会社、学校、家庭、友人関係・・・社会や日常の生活の中で人は何を求め、何を嫌うのか?競争、協力、攻撃、援助・・・何気ない行動や選択の裏に隠された、集団・組織と個人の心理が見えてくる!

 

感想

ほぼすべての内容が、自分が毎日過ごす社会、コミュニティ、人間関係に当てはまるものばかりで、目から鱗が落ちる思いで一気に読破。話のタネ集めとしても秀逸、がすべてが有益過ぎてまとめきれず。コロナ禍の現代において、社会心理学が今あらためて面白い。

 

表紙

眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学 | 亀田 達也 |本 | 通販 | Amazon

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目次

第1章 社会現象と心理学

第2章 組織・集団の心理学

第3章 職場における心理学

第4章 個人と対人認知の心理学

第5章 社会のあり方と心理学

 

要約・メモ

  • 見て見ぬふりをするのはなぜ?⇒傍観者効果。自分が助けなくても他の誰かが助けるだろう、という心理が働く。
  • その事態が起きた原因がどこにあるか?ということも大きな要因。責任の有無の判断は人の行動に極めて大きく影響。
  • 多数派の意見や行動に同調しやすい。同調が起こりやすい状況とは?メンバー同士の結びつきが強い集団ほど生じる。他者の判断を有用だと考える、集団の輪を見出したくないという心理
  • 役割を与えられると人は残忍に。スタンフォード監獄実験。
  • 人は何か学ぶ際、直接的な経験を通して学習するケースと、他の人の行動を見て学習するケースがある。ゲームや漫画の影響を受けるのは後者で、「観察学習(モデリング)」と呼ぶ。
  • 武器があると攻撃行動が起きやすい。攻撃手掛かりの有無が重要な決定要素に。
  • あおり運転をしやすい人の特徴とは?相手にされた行為を敵意や悪意から生じたものと捉える傾向がある(敵意帰属バイアス)。それが強いと、わざとぶつかってきたと考え、相手への攻撃行動に出やすい。
  • ネット炎上、社会比較説と集団極化。社会比較説は、他者の多くが自分と同じ意見であることで自分の意見に自信を持ち、より強化されること。集団極化は、討論の際メンバーにリスキーな意見か、安全志向の意見か多い方に偏る傾向のこと。
  • 人は多数派に属したがる。自分たちが優勢と認識した側はより雄弁に、劣勢と認識した側は孤立を恐れて沈黙。孤立を恐れない一部の少数派は変革のために欠かせない存在。
  • 渋谷のハロウィンの暴徒化。群集心理。「一体感」「無責任性」「無名性」。共通目的で集まるため一体感生まれる。何をしてもかまわないという無責任性。無名性により罪悪感も薄まる。
  • 自分の心の中に矛盾を抱えた状態「認知的不協和」。人はこれを無意識に解消しようとする。(実験例:退屈な作業をさせた後、グループAは20ドルの報酬を与え次の人に面白かったと告げるよう指示、グループBは1ドルの報酬を与え次の人に面白かったと告げるよう指示。結果、その後の本音を聞くとAは本当はつまらなかった、Bは意外と面白い作業だったと答えた。Aは20ドルで認知的不協和を解消したが、Bは解消できず、認知そのものを「面白い」と変化させて解消した。)
  • 疎外感が人を犯罪に走らせる。社会的排除の実験。疎外されているという感情を抱いただけで高い攻撃性が生まれる結果に。

 

  • 集団規範、本来はバラバラであるはずの個人の考えが、集団の中に入ると、他者の行為に相互に影響を受け合うようになる。
  • 上辺だけの同調を外面的同調。本当は家に帰りたいのに一緒にカラオケに行くと言うのがそれ。逆に周囲の意見が正しいと判断して同調することを内面的同調
  • 個人よりも集団で出した結論の方がよりリスキーになるリスキーシフト
  • 集団での意思決定の問題、たとえその結論が間違っていても覆せなくなる心理的拘泥現象が起こる。それを回避する方法として悪魔の擁護者と言うものがある。決められたメンバーがあえて反対意見を述べる。
  • 集団間で生じた対立(集団間葛藤)を解消するためには、交流など集団同士の単なる接触ではなく、各集団が協力しあわなければ解決できない上位目標を与えることが効果的。
  • 少数派が多数派の考えを変える方法。主張する意見に一貫性を持たせること、意見以外に日常生活で多数派と共通点があるなど仲間意識を感じさせること。
  • 他者の存在が作業へ与える影響。社会的促進、1人より2人が作業スピード早い。社会的抑制、大勢の前でプレゼン、質や量が低下する。鍵は個人の習熟度。
  • 自分の行動に一貫性を持ちたいと思う心理「一貫性欲求」。フットインザドアテクニックを利用した訪問販売。
  • 生産性を上げるカギは労働条件より人間関係
  • 予言の自己実現。情報を信じた人々の行動によって予言や期待が現実になること。
  • ピグマリオン効果。期待されている人が、その期待通りに物事を成功させること。
  • 交流型リーダーシップ、人間関係に気を配りつつ目標達成のために人々をまとめて導く。変革型リーダーシップ、将来の変化を的確に予測し、メンバーに変化を促すととともに長期的な目標を提示。双方の能力をもつハイブリッドなフルレンジリーダーシップも。

 

  • 他者の行動原因、本人の性格など内的原因を重視する傾向。自分の行動原因、成功した場合は内的原因、失敗した場合は外的原因と考える傾向。
  • 社会的アイデンティティとは、その人が所属する集団や社会的カテゴリーからとらえた自己認識を指す。性別、国籍、会社、出身地など。自分を形作る上で重要な要素。例:高校野球に熱中する理由
  • ステレオタイプ化は無自覚に起こる。抜け出すためには①相手の属しているカテゴリーをよく多く知ること(別の角度からだとよく見える)、②相手をよく知ること(実はこうだったんだ)。
  • 流行に乗る人・逆らう人とは。共通した特徴「独自性」、流行を先取り、流行を全く気にしない、という意識。ある程度広まってから流行に乗る人は「同調性」を重んじている。
  • 相手を説得するテクニック。受け手側に専門知識がない場合は良い面だけを提示する「一面的メッセージ」が有効。逆に受け手側がある程度の知識を持っている場合は悪い面も合わせて提示する「両面的メッセージ」が有効。
  • 心理的リアクタンスに注意。受け手側が自分への脅威が大きいと感じると、自由を回復するためにあえて言われたこととは反対の行動をとる。
  • スリル噛んで相手の魅力アップ、吊り橋効果。

 

  • 囚人のジレンマ、人は長く付き合う相手に対して協力的になりがち。
  • 囚人のジレンマ、ゲーム対戦では何度も続けると協力的な関係が出る。一番高い成績は「応報戦略」。最初の回は協力し、その後は相手が前回取った手と同じ手を取るという戦略。
  • 人間関係はギブアンドテイクが基本。その考えに基づいて、距離を近づけていく手法が「自己開示」。相手に自分のことを多く話していくと、相手も自分のことを話すようになり、ふたりの距離が縮まっていく。(相手への信頼感が高まり好意が増す)
  • もっと多くの人が所属するコミュニティでは、社会的ジレンマが発生。これを解決する最終的な手段は、「社会全体の利益になるような行動こそが自分のためになる」という意識、利他的利己主義の確立が重要。
  • 報酬の公平な分け方。貢献度に応じた分配が必ずしも公平とは限らない。人の入れ替えが激しいところでは衡平原理が、人間関係が長く続いていきそうなところでは平等原理が望まれる傾向。
  • ジェノサイド(集団殺戮)。自分の所属する集団(内集団)以外の人の集まり(外集団)を差別、迫害という状況に陥る。例:ナチスユダヤ人虐殺
  • 文化的自己観、欧米人の思考が物事自体の特徴に注目する分析的思考に対し、東アジア人の思考は物事とその周囲の関わりに注目する包括的思考である。
  • 名誉に徹底してこだわる文化、南アフリカの白人男性に多い。牧畜民としての生活から生まれたもの。