どんな本
イタリア人著者がウクライナの人々から聞き取った実体験をグラフィックノベルとして再現。ロシアによるウクライナ侵攻が開始して早10ヶ月、その対立の起源とは果たして何なのか。
感想
ウクライナで実際に生活し、実体験を元に描かれた独特な描写のノベル。社会の空気感や悲壮感が伝わってくる作品。この世から対立が消えることはないかも知れないが、それを対話によって、出来る限り暴力という手段以外で回避していくこと、未来へ少しでも良い関係を気づいていくことの大切さを改めて感じた。
表紙
要約・メモ
- ソ連崩壊後、21世紀に入ってからウクライナとロシアは徐々に対立を深めていった。
- ウクライナが進めるNATO加盟路線、2008年のジョージア戦争、天然ガス需給の軋轢、などの問題。
- とくに繊細な問題が歴史認識。1932〜1933年に起きた大飢饉、ウクライナではホロドモール(飢餓による殺人)と呼ばれる。スターリンの中央政府によって引き起こされた「人為的な」食糧不足であった。少なくとも200万人、多ければ800万人の死者。ウクライナ国会では「ウクライナ人を標的にした虐殺(ジェノサイド)」と認定。ロシア側は飢餓の事実は認めるが人為的であったことを否定。