まちづくり・社会教育活動の実践あれこれ

日々への感謝とアウトプット

読了「私だけ年を取っているみたいだ。」水谷緑

どんな本

幼少期よりヤングケアラーとなった主人公の少女・ゆいの半生を描いた物語。2年間に及ぶ取材の中、紆余曲折や挫折を経て制作された著者渾身の一冊。

 

感想

ほんの一例に過ぎないが、ヤングケアラーへの理解を深めるきっかけができた本書に感謝。また、人と人とが、いかに心を通わせ、絆を深められるのか、について多くの気づきを得ることができた。

 

表紙

f:id:recosaku:20230108214346j:image

 

要約・メモ

  • 「お母さんはもう死んだ方が幸せかも知れない」
  • 「愛を返せない人に愛情を求め続けるのはもうやめて代わりにくれる人はいるから。その人がどうであるかに目を向けて。愛情を見過ごしてないか。」
  • 「お母さんじゃなくてお父さんを1番怒ってる」
  • 「お願いです。家から出る方法を教えてください。」
  • 「私だけ年を取っているみたいだ」
  • 「すべての人間には、回復力がある」
  • 「新しいものに出会うと、新しい自分が出てくる」
  • 「愛情は余裕から生まれる」

 

  • ヤングケアラーとは、介護や病気、障害や依存症など、ケアを要する家族がいる場合に大人が担うような責任を引き受け、家事や看病、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子供のこと。
  • 2021年の調査では、中学2年生の17人に1人、高校2年生の24人に1人がヤングケアラーに該当ケアの対象は、兄弟、親、祖父母の順に多く、親の場合は精神疾患や依存症の親を介護している子供が多い。
  • 精神疾患は、生涯を通じて5人に1人がかかるとされ、誰にでも可能性のある病気。
  • 背景には、大家族から核家族に家族構成が変化し、地域のつながりも薄れ、伝統的に家族が担ってきた扶養や介護の機能が低下している現状
  • ヤングケアラーの子供たちを、地域の支援やサービスつなげることが必要。子供たちが心を許せる大人に1人でも多く出会うこと。支援の必要なヤングケアラーが身近に入るかもしれないと言う意識で周囲を気にかけ、子供の話に耳を傾けて
  • 子供時代をなんとか生き抜いたヤングケアラーは、成人すると今度は生きづらさを抱えるようになる。自分を抑制して生きてきたことが、自分の感情に気づきにくくさせる。
  • ヤングケアラーは社会でしっかり生きている。しかし内面では自己否定と劣等感を塊で、自分の行動に自信が持てない。
  • 2018年に設立「こどもぴあ(精神疾患の親を持つ子供の会)」都市部を始め全国に広がっている。
  • 子供には、自助グループに相談したり、社会制度やサービスを利用すると言う認識は無い。奨学金制度や就職、キャリア支援など、自分の目標を持って人生を歩めるよう継続的な支援が必要。
  • 成人後のヤングケアラーにとって、恋愛や結婚は重要なテーマとなる。消極的になったり、相手をよく知らないまま結婚し、失敗する人も。
  • 自分が子育てしている時、幼少期の辛い体験が、突然に蘇り、フラッシュバックや悪夢を引き起こす。
  • 専門家による治療やカウンセリングがときに必要。時間をかけて回復していくこと。安心できる環境と信頼できる他者の存在が不可欠